「感染源は日本人」を親日国インドネシアの豹変と捉えてはいけない

それは本当に日本人への差別なのか
大塚 智彦 プロフィール

政府公表の「感染源は日本人」が独り歩き

政府による一連の感染拡大対策の中で大きな問題となっているのが、「初の感染者の感染源は日本人」という情報だ。これは感染者01と02の母娘のうちの娘の方が、ジャカルタ市内のクラブで踊った際、日本人女性と「濃厚接触」していたことが根拠になった情報だった。

この「インドネシア初の感染者の感染源」とされた日本人女性はマレーシア在住で、娘と接触した後ジャカルタからクアラルンプールに戻り、体調不良を訴えて入院した。そこで感染が判明してインドネシアに連絡が入り事態が急展開した。

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感染したとの連絡を受けた母娘は当初、自宅近くの病院で診察を受けたがその際の診断はチフスと気管支炎だった。それが経過を見るうちに、ひょっとしたらということになり、専門病院に転院して検査し感染が判明、3月2日のジョコ・ウィドド大統領自らの発表ということになっている。

その後、母娘は回復して、17日には退院会見に臨んだが、感染源が当該日本人女性であると医学的に証明されたわけではない。それでも政府が発表した「感染は日本人から」という見立てが独り歩きして、いつしかインドネシア人の間では「長らくゼロを続けてきたのに日本人がコロナウイルスを持ち込んだ」という解釈が既成事実として伝わり、拡散してしまっているのが実情だ。

 

そしてこの独り歩きしてしまった証明されてもいない情報が、ジャカルタ在住日本人の間にも複雑な問題を引き起こす事態となっている。