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「感染源は日本人」を親日国インドネシアの豹変と捉えてはいけない

それは本当に日本人への差別なのか

武漢から中国全土そして世界各国に飛び火拡大して、今や地球的規模のパンデミックとなった新型コロナウイルスによる肺炎は、3月2日、「感染者ゼロ」を続けていたインドネシアにも上陸した。

それまでは「対岸の火事」のように高みの見物を決め込み、「感染症には慣れている」「平均気温31度の気候がウイルスを殺す」「食材も大半が油で揚げるので感染リスクは少ない」など自嘲気味ながらもどこか「誇らしげ」だったインドネシア人も、インドネシア国内でインドネシア人の感染が初確認されると、堰を切ったような騒動に見舞われている。

その後も次々と感染が報告され、18日の時点での感染者数は227人、死者19人、回復者11人となっている。

政府の対応は、「感染ゼロ」の期間に十分な準備をしておけばそこまで慌てることもなかっただろうにと思わざるを得ない対症療法的な処置に終始しており、公衆衛生上の危機管理が全くできていないことを内外に露呈しているともいえる。

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朝令暮改、前言撤回、迷走する政府

ジョコ・ウィドド大統領は3月15日、都市封鎖に関しては「地方政府に任せる」と発言したが、翌16日には「都市封鎖は中央政府が決めることである」と前言を撤回した。

首都ジャカルタ特別州のアニス・バスウェダン知事は3月14日、国内で拡大を続ける新型コロナウイルスによる肺炎の感染対策として、ジャカルタの全学校の2週間の休校とともに、公共博物館や娯楽施設なども27日まで閉鎖する緊急対策を発表した。

さらに15日には、ジャカルタ市内の地下鉄、鉄道、バスの運行時間短縮、運行間隔変更、車両への乗車定員の削減などの感染リスク削減策を打ち出した。しかし初日の16日には各停留所、駅ともにとんでもない大混雑となり、16日夜には「運行を元に戻す」と発表せざるを得ない事態に追い込まれた。

また3月2日に発表した感染者第1人目と2人目の母娘に関しては、居住地、感染したと思われる場所、年齢、性別まで保健当局が詳細に発表し、ネットでは2人の本名、写真までさらされる事態になった。

これに対しジョコ・ウィドド大統領は「今後感染者情報は個人情報として保護する」と厳格な基準を指示したため、これ以降は「感染者03」「感染者04」と数字と性別ぐらいしか公表されなくなった。

11日に初めての死者が出た時、政府保健省では「外国人」とだけ発表してプライバシー保護に配慮したものの、この最初の犠牲者が入院していたバリ島の病院が「観光客の英国人女性、53歳」と公表するなど、ダブルスタンダードともいうべきちぐはぐな対応が浮き彫りとなった。

 

このような朝令暮改、発言撤回、ダブルスタンダードのほかにも、修正、開き直りなどインドネシア政府のあたふたぶりは枚挙に暇がない。有力地元紙も「ジョコ・ウィドド大統領にはより専門的な対応策が求められる」(ジャカルタ・ポスト)、「ようやく真剣な対応策、しかより強い指導力が求められている」(同)など厳しい見方の報道が続いている。