人間の「献体」と「解剖」…その知られざる手順をご存知ですか

こうして「命」はつながっていく
小泉 カツミ プロフィール

「体の地図」を知ること

「解剖は必須科目ですから、それをやらないと医者にはなれません。簡単に言うと、解剖は『体の三次元的地図』を知ること。地図がわからない人が、メスを入れられるわけはないですからね」と小澤教授は言う。

現在、日本医科大学には1学年120〜130名の学生がいる。献体された一人の遺体を4~5名の学生で解剖していく。基本的には、遺体を預かった順に解剖していって、2、3年後には遺骨にして遺族にお返しするわけだ。

献体から解剖に至る流れはどうなっているのだろうか。小澤教授が言う。

「家族の方は一刻も早く預けないと、とおっしゃる方もいますがご遺体の保存方法も現在ではかなり進んでいますし、ある程度お葬式が終わって、ご家族のお別れが済んだところまででも十分大丈夫ですよ、とお話ししています。それでも亡くなって2週間などということはまずないので、最長でも1週間、大体死後4、5日くらいでお預かりすることが多いです」

大学に到着した遺体は、まず防腐処置が施される。

「昔を知る皆さんは、ホルマリンの大きなプールみたいなところにご遺体が入れられると想像されるんですが、今はそういうものはありませんね」(小澤教授)

遺体は、足の付け根の大腿動脈から血管に保存のための固定液が入れられる。それはホルマリンやアルコールの混ざった防腐剤である。

 

「そうして血液と入れ替えるのです。続いて、ご遺体を一人用のプールのような箱に沈めます。そこには浸漬固定用の固定液が入っていて、体の中に液体を入れるのと同じように、一体一体行われます。つまり、中からの『固定』と外からの『固定』をするわけです。これで2年から3年の間、遺体は亡くなった時の状態の姿を保つことができます。

この『固定』の作業は大事なポイントなんです。この作業はプロじゃないとできないので、専門の技術を持った『解剖技術員』が行います」

そこから、一体一体が保存用のロッカーのような冷蔵庫に安置され、解剖の時を待つ。

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