がんの再発・進行がんへの治療も進化している

「がんの再発・転移」と聞いてあなたはどんなイメージを持つだろうか。病状はかなり深刻で死が間近に迫っていると感じる人も多いだろう。前に書かせていただいた記事でも、“根治することは難しい”と紹介してきた。しかし、がんの生存率が上がっているのは、治る人だけでなく、がんを抱えながら長く生きる人が増えてきたからだ。この連載をしめくくる今回は、がんを通し「生きる」ことについて考えていきたい。

「確かに、再発・進行がんの根治が難しいというのは、まぎれもない事実ではありますが、すぐ目の前に死が迫っている、ということではありません」というのはがん治療の現場をリアルに描くドラマ『アライブ がん専門医のカルテ』の企画担当医である日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科 勝俣範之医師だ。

「分子標的薬などの新薬の登場や、薬の使い方によって、再発・進行がんでも、治療を継続し、がんと長く共存し、普通に生活される方も増えています。

たとえば、乳がんの『ホルモン療法』や分子標的薬の『ハーセプチン』は、再発転移がんやステージIVのがんにもよく効いて、画像上でがんがほとんど消えてしまう方も時々います。私の患者さんで、ハーセプチンによって長期間がんが、消失して、完治した可能性がある方も何名もいます。

また、血液がんや小児がんの場合は、ステージⅣであっても抗がん剤がよく効き、治ることがありますが、固形がんでも、ステージIVであっても、最近の分子標的薬によって、長期間の生存ができる患者さんが増えてきています
薬の開発によって、今後もこういったケースは増えていくと考えられます」(勝俣医師)

実際、勝俣医師が担当する再発患者さんで一番長く診ている方は、乳がんの全身骨転移が分かってから22年、ホルモン療法を続けながらも元気に通院されているという。

がんは骨に転移しただけでは、命を奪われることはありません。ただ骨は臓器の中で一番痛みを強く感じる部位。骨転移によって骨が脆くなり、背骨が骨折し何年も痛みに苦みながら寝たきりになり、長期間入院になる患者さんがかつてはたくさんいました。ところが骨を強化し骨折を予防する薬を使えるようになって、骨転移による骨折も少なくなっています」(勝俣医師)

具体的には、骨粗しょう症の骨折を抑制するビスホスホネート製剤や、新しい分子標的薬「デノスマブ」も登場し、治療を続けながら仕事を続けるなど、社会生活を送る人が増えているのだ。

ドラマでは、木村佳乃演じる医師の乳がんの再発転移も描かれる。彼女の病状はいかに…。写真/フジテレビ