弁護士から離婚調停申し立て

元夫側から連絡があったのは、それから1ヵ月後。弁護士を通じて、いきなり離婚調停を申し立てられた。
「両親は、今ならまだ赤ちゃんを諦めるという選択もできる、と言いましたが、私は絶対に産みたかった」 

離婚調停は、折り合いがつかず不調に終わった。千恵さんに離婚の決心がつかなかったのだ。
「はじめのころはまだ元夫への気持ちは残っていて、なんとか戻れないかと思ったり、あの義母がいる限り無理か、と思ったりで、考えがまとまりませんでした。出産を控え、そちらに集中したくて考えることから逃げていた部分もあります」

出産と離婚裁判

過酷な状況のなかでも、おなかの子どもは順調に育っていった。千恵さんは出産直前まで仕事をし、一人暮らしも続けていたが、子どもが生まれてからは仕事を辞め、実家に戻った。

そのまま実家で子育てを開始。両親と独身の姉が静かに暮らしていた家は、子どもの誕生で一気に明るくなった。元夫は、一度も子どもに会いに来なかった。

その後、2年ほどの冷戦期間があり、3年目に元夫は離婚裁判を申し立ててきた。
「向こうの主張は、とにかく籍を抜いてくれ。こちらの主張は、慰謝料と養育費。慰謝料の相場は300万円くらいだそうですが、私はとにかく腹が立っていたので500万円、それ以下はない! と言っていました。でも、その間にも子どもはどんどん大きくなっていく。子どもが3歳になったころ、そろそろ決着をつけないと、と思い、慰謝料も養育費もまあ納得できるところで折り合いをつけて離婚となりました」

話し合いが交わらない以上、どこかで決断をしなければならなかった Photo by iStock

名実ともにひとり親となった千恵さんは、前を向かなければと仕事を探し、結局、元の会社にアルバイトという形で戻ることにした。保育園も無事決まり、千恵さんはいよいよシングルマザーとして働きながら子育てをしていく覚悟を決めた。