妊娠4ヵ月で、離婚を申し立てられる

「相手には、恨みしかありません」。こう言うのは、シングルマザーとして8歳の女の子を育てている宅間千恵さん(仮名・39歳)。小柄でキュートな雰囲気の女性だ。別居して9年、離婚が成立して4年半が経つ。

両親に可愛がられて育ち、私立の女子校に通い、友だちにも恵まれて。コギャルブームにのって明るく楽しく青春時代を過ごした。それまで大きな挫折は経験なかった。そんな千恵さんにとって、30歳になる年に元夫から受けた仕打ちは、あまりにも衝撃的だった。
千恵さんは妊娠4ヵ月で突如、元夫から離婚を申し立てられた

結婚は夫婦だけの問題ではなく、「家族」の問題でもある。伝統的な家の生まれや大企業のあととりなど、しがらみがある場合もあるだろう。しかしごく一般的な勤め人の家庭で、義母が大きく介入してきたとしたら――。お腹に赤ちゃんがいる状態でとんでもない目に遭った千恵さんは、どのように前に進んだのだろうか。
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結婚を前提とした同棲、そして妊娠

栄養系の専門学校を卒業して飲食店に勤めていた千恵さんが、その店の常連だった元夫と付き合い始めたのは29歳のとき。元夫は1歳年下で、IT系企業の会社員。ダーツなどの趣味が同じで気が合った。

「すごくやさしかったし、シャイだけど人懐こいところが好きでした」

2人はまもなく一緒に暮らし始める。結婚を前提として千恵さんの両親にも紹介し、了解を得たうえでの同棲だった。
千恵さんはその後、知人の会社に事務員として転職。気楽な共働きを1年ほど続け、そろそろ籍を入れようかと話していた矢先、千恵さんの妊娠がわかった。

「うれしかった! そろそろ30 歳になるところだったから、子どもをもつにはちょうどいい年齢だと思いました。元夫も喜び、『冷やさないようにね』などと気遣ってくれました」

千恵さんの両親にもすぐに報告。千恵さんと元夫の住んでいる場所から千恵さんの実家は近く、元夫と両親は仲良くしていた。だから両親も、「結婚と同時に孫ができるのね!」と祝福してくれた。

純粋に「うれしい妊娠」だったのだが…Photo by iStock