新型コロナで「日本の有給のヤバさ」が露呈…取得できる制度づくりを

「風邪でも絶対に休めない」からの卒業
西口 想 プロフィール

年休は多くの日本人にとって「備蓄」

Expedia調査の国際比較では、「有給休暇の取得に罪悪感がある人の割合」で日本は58%で1位、「自分はより多くの有給休暇をもらう権利がある」と回答した割合では54%で最下位となっている。職場の上司や同僚の目が気になって取得しにくい、というのが日本の会社員の率直な声なのである。

同調査によると、日本で「休みを取らない理由」として1位にあがったのが「人手不足」、2位が「緊急時のために取っておく」だ。この上位2つの理由は相互に関係するだろう。

先に書いたように、日本では法律上義務付けられている有給休暇が年次有給休暇のみだ。本人が風邪などで体調を崩す、または子どもが体調不良になって世話するために休まざるを得なくなった時、収入を維持するには年休を使うしかない。特に子育て世帯ではいつ何時「緊急時」が発生するか分からないため、年休は決して使い切ってはいけないストック(備蓄)として機能している

〔PHOTO〕Getty Images
 

年休を使い切らないということは、「仕事に穴をあけない」ことを意味する。

日本では20年以上、経営者や管理職に「人件費を削減せよ」というプレッシャーがかかり続けている。皆が年休をフル取得し、実際に業務が止まり、仕事に穴があけば、それを埋めるための人手を雇わざるを得ないだろう。だが、従業員が年休をあまり取らずに、現状の人員でギリギリ回っている(ように見える)のであれば、経営者に新たに人を雇う動機は生まれない。結果、職場は「いつも人手不足で、とても休みを取れる状況じゃない」ということになる。

それでは、なぜ他国ではフルで年休を使い切れるのだろうか。