新型コロナで「日本の有給のヤバさ」が露呈…取得できる制度づくりを

「風邪でも絶対に休めない」からの卒業
西口 想 プロフィール

「有給休暇」という表現が招いた混乱

3月2日の新たな助成金制度の公表の際には、別の混乱も生じた。

メディアの速報で〈保護者に有給休暇を取得させた事業主に対し、原則として、休暇中に支払った賃金全額を支給する〉などと報道されたことで、SNS上で「有給を使い果たせってこと?」「企業に金が入るだけで労働者は貰えない」といった声が噴出したのだ。それらの反応の多くは誤解なのだが、一方で、こうした声が出るのも当然だと感じた。日本の職場はそれほど余裕のないギリギリの状況なのである。

〔PHOTO〕Getty Images
 

日本で雇用されて働く人の多くにとって、週休日や祝祭日以外で、休んでも勤務したのと同じ賃金を支給される「有給」「有給休暇」は、年次有給休暇しかない。企業に措置が義務付けられている法定有給休暇制度がそれだけだからだ(労働基準法第39条)。産前産後休暇や生理休暇、子の看護休暇などの法律上義務のある他の休暇は、有給にするか無給にするかは企業に委ねられている。義務ではないから、これらを賃金全額支給としている企業はとても少ない

そして、日本で働いていると、唯一法定されている年次有給休暇すらろくに取れないという現実もある。

 

日本の有給取得率は世界のほぼ半分

年次有給休暇についての有名な国際比較に、オンライン旅行会社Expediaが毎年インターネット調査として実施している「有給休暇・国際比較調査」がある。2018年の結果によると、日本は支給日数が20日で、取得日数が10日、取得率は50%である。この数字は、国の統計である「平成31年就労条件総合調査」の結果(平均付与日数18日、平均取得日数9.4日、平均取得率52.4%)からもそんなに外れていない。

一方で、フランス・スペイン・ドイツといったEU加盟国は、使用者側に年休を取得させる義務を負わせていることもあり、年間30日支給の100%取得だ。日本と同じ東アジアのシンガポール・香港などでは、法律上の付与日数が少ないためか支給日数は15日前後だが、取得率は9割を超えている。労働者の権利として支給された年次有給休暇の日数分はがっつり休むのが、グローバルスタンダードだと言ってよいだろう。

では、日本で年休取得率が低い原因は何なのか。