新型コロナで「日本の有給のヤバさ」が露呈…取得できる制度づくりを

「風邪でも絶対に休めない」からの卒業
西口 想 プロフィール

問題2:フリーランスや自営業者が「半額」

2つめの問題は、3月2日の時点で、国民に広く行きわたらせるための助成金が「雇用」の枠内にとどまっていたことだ。業務委託契約などで働くフリーランス・個人事業主にも、今回の新型コロナウイルスの影響は等しく、あるいはより深刻に及んでいる。

政府・厚生労働省は、特にこの5年ほど、労働者のフリーランス化を推進するような政策を進めてきた。それにもかかわらず、本当に困った事態になるとフリーランス・個人事業主を切り捨てるような姿勢をとるようだと、行政に対する基本的な信頼が失われる。

この点、3月10日になってようやく政府は、小学校の臨時休校などに伴い休業した保護者の中で一定の条件を満たすフリーランスや自営業者には、休業補償として日額4,100円を給付するという緊急対応策を示した。思い切って「雇用」を超えたとはいえ、8,330円のさらに半分以下という支給額に失望した人も多いだろう

 

問題3:迅速に対応した企業ほど助成対象から外れる

3つめの問題は、はじめに書いた「打ち出しのタイミング」の問題だ。これは見かけ以上に根深い話である。

多くの企業では3月2日より前の時点で対応を打ち出した。私が聞き取りした範囲では、3月中の時差出勤を認めたうえで、在宅勤務・テレワーク制度の利用条件を緩くすることで乗り切ろうとした会社が多い。
在宅勤務が困難な職種については、小学生までの子どもをもつ親には従来あった休暇制度の特例を認めた企業もあった。例えば、年休積立制度を集中的に利用できるようにしたり、無給(または賃金一部支給)の看護休暇の要件を緩めたりといった工夫だ。

〔PHOTO〕iStock

だがこうした策では、国の助成金は申請できない可能性が高い。繰り返すが、年次有給休暇とは別に、賃金全額支給の特別休暇を取らせなければ、新たな助成金の対象とはならないからだ。

従業員のために迅速に対応した企業ほど助成金の枠組みから外れるというのは、本末転倒な感じがする。これは、安倍首相が厚生労働省や文部科学省などの関係省庁と相談・調整をせず、一方的に休校要請を行ったことによる混乱だろう。いきなり休校要請を公表してから、そのフォローを官僚が慌てて考えたためにタイムラグが生じた。ひとえに政治責任といえる。

3月2日以降は、この新たな助成金の枠組みに合わせて特別休暇を認めるなど、対応を修正した企業も出ている。そして3月18日にやっと、この「小学校休業等対応助成金・支援金」の申請期間(3月18日~6月30日)や申請方法が厚生労働省のHP上に公表された。もし勤務先企業で助成金に合わせた対応がされていなければ、人事課や総務課に検討を促したほうがいいかもしれない。「2月27日まで遡って特別休暇扱いとする」など、これからでも対応は間に合う。