新型コロナで「日本の有給のヤバさ」が露呈…取得できる制度づくりを

「風邪でも絶対に休めない」からの卒業
西口 想 プロフィール

非正規・パート従業員までカバーしたのも、とても重要だ。
かつて非正規・パート労働者は、主な稼ぎ手が世帯のなかに別にいる「家計補助的」な働き方だと見なされてきたが、現在では非正規労働者が主な稼ぎ手を担っている世帯が多い。平均所得も少ないため、そうしたケースでは直ちに生活費が枯渇する。企業内でも、正社員と比べて各休暇が認められていないことが多い。つまり、非正規のほうが国からの支援を要する度合いが相対的に高いのだ。

〔PHOTO〕iStock
 

厚生労働省が助成金のノウハウをもつ雇用保険制度では、週20時間未満勤務の労働者は対象外となってしまう。そこで、労働保険会計を適用できない労働者に対しては、一般会計をあてることで救うとしたのだ。

ただ、この新しい助成金制度には3つの問題がある。

問題1:助成額がそもそも少なすぎる

1つめは、企業には賃金全額支給の新たな休暇を与えるよう求めながら、国から企業への助成金は、1人あたりの日額上限が8,330円に切ってあり、それを超える賃金分はすべて企業負担となる点だ。

例えば、小学生の子の親が10人働いているオフィスだったとしよう。もしこの10人が3月の平日の勤務日を全て休むとしたら、10人×22日×最大8,330円で、最大183万円強の国の助成金を企業は受け取ることができる。

ただ、仮に一人あたりの平均日額が15,000円だと、330万円の賃金が発生するのに対して、国からの助成は約183万円しか出ないので、残りの約150万円が企業負担となる。

 

この8,330円という細かい金額設定は、失業中にハローワークで受け取ることができる雇用保険の給付金(基本手当日額)の上限と揃えてある。新しい助成金でも主な予算の出どころは労働保険会計であるため、失業者への補償額と整合性をとる必要があったのだろう。

しかし、失業給付の額がそもそも低すぎるのだ。8時間労働で割ると、東京都の最低賃金1,013円を少し上回る時給1,041円だ。失業給付の最高額が最低賃金とほぼ同じ水準であることは、今後問われるべき問題だ。