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新型コロナで「日本の有給のヤバさ」が露呈…取得できる制度づくりを

「風邪でも絶対に休めない」からの卒業

2020年3月。新型コロナウイルスの影響を受けずに働くことは、現時点の日本ではほぼ不可能な状況になった。

私は労働団体で働いている。この間、仕事として労働者に関わる情報を集めてきたが、政府の場当たり的な感染予防策のせいで、本当にたくさんの職場が混乱している。
なかでもインパクトが大きかったのが、2月27日(木)に突然発表された小・中・高校の一斉臨時休校の要請だ。この休校要請そのものの合理性や手続きについて疑問が噴出したが、労働問題としては、政府が2月27日の要請と同時に保護者の休暇・休業への対策を示さなかったことで日本中に混乱が広がった。

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政府が打ち出した保護者への対応

政府が、子の世話で仕事を休まざるをえない保護者への対策を示したのは、4日後の3月2日(月)。この間、主に小学生の子を持つ従業員に向け、多くの企業が先手で対応策を打ち出した。企業の人事・総務担当者は、早い会社では2月28日(金)に、調整に時間を要した会社では週末を返上して対応方法を示し、週明けからの混乱を避けようとした。

3月2日に政府が発表した保護者の所得補償策は、次のようなものだ。
2月27日から3月末までの期間で、子どもの小学校等の臨時休校、または新型コロナウイルス感染のおそれがある子の風邪症状のために仕事を休んだ従業員に、年次有給休暇とは別に、賃金全額支給の有給休暇を取得させた企業に対して、厚生労働省に申請すれば1日1人当たり8,330円までの助成金を国が出す。正規/非正規、フルタイム/パートタイムは問わず、全従業員が対象となる。

年次有給休暇(以下、略す際は「年休」とする)という既存の休暇を使わせるのではなく、かつ、年休以外であっても無給や一部支給(賃金の80%など)の休暇ではなく、賃金全額支給の有給休暇を取らせなければ、助成金の対象とはならない、としたのは、助成金の考え方として正しい。年休の取得は、そもそも労働者の権利だ。今回、政府の要請で貴重な年次有給休暇を「使わせる」ことには正当性も納得性もない。

また、年次有給休暇は入社から半年経過(かつ勤務日の8割出勤)していないと付与されなかったり、人によって残日数がバラバラであったりするため、3月いっぱいとしても足りないのは明らかだ。