反省しても暴力は否認…野田虐待死事件の勇一郎被告に更生回復は難しい 

人の痛みに共鳴できない理由
森田 ゆり プロフィール

「変わりたい」という思いから更生は始まる

私はアメリカと日本で子どもの虐待とDV問題に携わる専門職の研修を担ってきて40年近くになる。日本では虐待に至ってしまった親の回復更生プログラムMY TREEを各地の児童相談所などで実施し続け、19年間に1138人の回復者を出してきた。
(詳しくはこちらの記事に回復プログラムについてまとめているhttps://gendai.ismedia.jp/articles/-/57703?media=frau

その経験からはっきり言えることは、野田虐待死事件の被告、この父親の更生はどんなプログラムをもってしても難しい。「自分が変わりたい」との強い思いのない人には更生回復プログラムは役にたたない。それどころか、プログラムからコミュニケーション技法だけ学んで、さらに人を支配することに使われてしまいかねない。

報道で知るだけでも、この父親の言動はサイコパス(精神医学の診断名は反社会性人格障害)の典型的な二つの症状を明示している。共感性の欠如と自分より弱い者への支配欲求である。

日本ではサイコパスと聞くと連続殺人キラーと同義語のように思われているが、サイコパスの脳研究や診断方法の開発が盛んな北米では100人に1人がサイコパスだと言われている。サイコパス当事者の告白本も次々出版されている。サイコパスの多くは、暴力を振るう人ではない。その特徴をプラスに活用して社会で活躍している人も少なくない。特にプレゼンテーション能力は高く、大企業のCEOやCIAやFBIの捜査官にも多いとも言われている。

 

しかしサイコパスは人を支配しあやつるために嘘をつく。誰が聞いても嘘とわかることを堂々と言う。息を吐くように次々と嘘をついて恥じるそぶりも見せない。自分の痛みには敏感でも、他人の痛みに共感することはない。それどころか他人の苦痛の映像を見ることで快楽を得る。前に言ったことと矛盾することを平然と主張し、悪びれることがない。相手のせいで自分は加害者にされているだけで本当は被害者だと信じている。第一印象が良く、権威ある人には礼儀正しい。

公判で勇一郎被告はこうしたサイコパスの特徴を示していなかっただろうか。

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