「チバニアン」決定直後の記者会見にて

千葉の「地味な地層」から地質年代「チバニアン」が誕生したワケ

世界が注目!地磁気逆転の謎は解けるか
今年のはじめに、科学界を揺るがす大ニュースが飛び込みました。
日本の地名が地質年代の名前に刻まれたのです。その名も「チバニアン」──。

チバニアン申請チームを牽引してきた国立極地研究所の菅沼悠介さんが、このたび『地磁気逆転と「チバニアン」』をブルーバックスから出版。チバニアンについて徹底解説していただきました。今回は、その中身を少しご紹介します!

地球の年表に、日本の地名が

2020年1月17日、この日は多くの報道関係者が東京都立川市にある国立極地研究所に集まっていました。地質年代に、日本の地名・千葉に由来する「チバニアン」という名前がつくか否か、その最終審査の結果がここで公表されることになっていたのです。

地質年代と聞いて、ピンとくる人は多くないかもしれません。これは、平安時代や鎌倉時代などの日本史の時代区分のように、約46億年の地球の歴史を区分して表す世界共通の年代(時代)の基準のこと。「ジュラ紀」「白亜紀」などもこの地質年代の名前の一つです。

 

この地質年代に「チバニアン」という名前がつくことが決まれば、日本に由来する名前としては初めてのことであり、その審査状況は、研究者だけでなく、メディアからも大きな注目を集めていたのです。

この審査が始まったのは2017年。じつに2年半もの月日が流れていました。最終審査を含めて全部で4段階の審査があり、まずはイタリアの2ヵ所を含めた3つの候補地を、1ヵ所に絞るところからのスタートでした。

私は「チバニアン」誕生に向けての研究を取りまとめて申請する論文執筆責任者としてこのプロジェクトに携わってきたのですが、研究や論文執筆の大変さだけでなく、度重なる審査の延期、思いがけない障害などの試練を乗り越えてこの日を迎えたのです。苦難を共有した申請チームのメンバーも国立極地研究所に集まり、固唾を飲む中で審査結果の連絡を待っていました。

そして、予定時刻をやや過ぎた午前11時半。一通のメールが私に届きます。そこには、国際学会の理事会でおこなわれた投票の結果、日本の申請が承認されたと書かれていました。地球史に「チバニアン」という新しい名前が刻まれることが決まったのです。

「チバニアン」認定を伝えるメール

このチバニアン誕生のニュースはすぐに日本列島を駆け巡りました。その後のテレビや新聞などの報道で目にした方も多いと思います。これは日本の科学界にとって、歴史に残る大きな成果です。今後、世界中の教科書にも書き加えられることになるでしょう。これまでチバニアン誕生に向けて頑張ってきた多くの関係者や申請チームのメンバーにとって、ようやく努力が報われるときがきたのです。