コロナ危機、“科学を軽視する”安倍政権の「限界」

大震災・原発事故の教訓はどこへ…
山下 祐介 プロフィール

目に見えないものとの闘い

目に見えないが、その恐ろしい作用があることはわかっている。

そういうものがもたらす恐怖。これが放射性物質とウィルスの共通項だとすると、これに立ち向かうには、ともかくこの「見えないもの」を、まずは「見える」ようにしていく必要があるということになる。

とともに重要なことは、さらに次の点にある。

放射能もウィルスも、人間の目にまったく見えないものでもなければ、一切制御することができないものでもないということだ。

これらは目に見えないが、特別な装置をもってすれば可視化できる。そして一定の手続き(管理)を実現できれば、その危険を下げることもできる。

危険や不安をすべて取り除くことはできないが、その増幅を避けることは可能だということだ。

〔PHOTO〕gettyimages

そしてウィルスに関しては、ワクチンの開発が実現すれば、危険はかなりの程度除去される。管理を徹底し、感染を防ぎ、時間を稼ぐことが重要だと言われるのはこの点にある。

無用な不安と恐怖を和らげ、かつ適切に恐れて正しく対応し、感染拡大を防いでいく。

そこにはまた、日常生活や経済活動とのバランスもある。感染を恐れすぎて心や社会が破綻しては逆効果だ、それによってますます感染が拡大する。

なにより医療活動の持続性が要になる。いま急速に死者数を増やしているイタリアは、どうもこのバランスの維持に失敗したようである。

 

日本でも、急なイベント自粛や学校一斉休校で、生活や経済に極端な衝撃がはしり、このことで様々な悪影響が起きているのは間違いない。

かつ日本で感染者数が伸びないのも、必要なPCR検査が実施されていないということにあるようだが、とにかく欧米の状況に比べると、今のところ、全体のバランスは保たれているようだ。