コロナ危機、“科学を軽視する”安倍政権の「限界」

大震災・原発事故の教訓はどこへ…
山下 祐介 プロフィール

原発事故とパンデミック

パンデミックとは、全世界で流行する病気のこと、である。Pandemicという語はもともとpeopleやpublicからきているという(新英和大辞典、研究社)。要するに、大量の人々に、それもふつうの人々に、普遍的に広がった大流行の病を指す。

こうした病気の蔓延と、2011年の東京電力福島第一原発事故は一見、異なるもののように見える。

原発事故は人為災害。これに対し、パンデミックの原因は自然に由来するからだ。

放射性物質とウィルス――だが目に見えないものの脅威という点で両者は共通する。

いずれもその危険は私たちには見えない。それゆえ可視的に避けることができない。しかもそれある人には身体になんら影響を及ぼさないのにもかかわらず、別のある人には死さえもたらすものである。

見えない間に身近に驚異が迫ってくるということでは、放射性物質よりもウィルスの方が怖いかもしれない。

放射能は人を介してはうつらない。原因から遠く離れれば、ひとまず危険は避けられる。安心はえられる。

 

これに対しウィルスは、人によって広域にかつ急速にうつされ、危険は増幅される。
このことから、パンデミックは、人に対する恐怖まで呼び起こす。

とはいえ、だからこそまた両者は同じなのである。放射能もウィルスも、その直接的危険はもちろんだが(原発事故ではさらに、大爆発の危険も忘れてはならない)、これらがもたらす心理的社会的影響がまた非常に怖ろしいのである。

この問題を指揮する政治家には、この怖ろしさをしっかりと意識した的確な判断が求められる。