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コロナ疲れが加速…国民に「お願い」ばかりする安倍政権の責任

「集団免疫」というシナリオもありうる

幻想を持ってはならない

コロナウィルスの蔓延に直面して、日本は震源地の中国に近接していて初期段階で感染者が発見されたわりには、現在のところ欧米諸国ほどの爆発的広がりは見せていない。

これは安堵し、評価すべきことだが、特に何の政策もとっていない政府が一方的に何か特別な施策をしているからこうなったかのような誤解が出ているとすれば、それは危険だろう。日本政府のこれまでの具体的な取り組みに、特に優れたものがあるようには思えない。

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私は、もともと握手等の身体接触を行う文化が乏しく、衛生水準が高いという背景に加えて、危機意識を持った国民一人ひとりが、手洗い・消毒・マスク着用・集団濃厚接触の回避等の自助努力を徹底したためであろうと考えている。

ただしこれは個々人の自己防衛のための切ない努力によるもので、決して抜本的な効果を持ったわけではない。実際、日本における感染者や死亡者の数は、爆発的ではないとしても、確実に増加し続けているのである。

そうだとすれば、自己防衛努力が息切れしてきた段階で、ウィルスは加速度的に広がる。おそらくそれはすでに徐々に始まっている。日本国民にとっても、自発的な緊急事態用の努力を数年間かけて持続するのは、大変だろう。対応疲れは、少なくとも相対的には、顕著になっていかざるをえない。

 

3月15日、政府はようやくマスクの転売を禁止する措置を導入した。のんきなものである。これまで日本全国で、膨大な数の人々がマスクの獲得のために人生の貴重な時間の相当部分を費やしてきた。彼らが日常生活を普通に送りながらマスクを入手できるようになるまでには、まだだいぶかかるだろう。

品切れになっているのは、マスクだけではない。除菌ティッシュなどを店頭で見ることは決してないのはもちろん、その他の紙類も軒並み品切れ状態のままだ。生活に深刻な影響が及び始めており、国民の疲れを加速する事態であろう。

驚くべきことに、薬局では体温計まで品切れになっている。日本国民は、熱を測って健康管理する手段すら奪われているのである。この状況で政府はなお、自己努力だけを促す「お願い」を対応策の根幹に据えているのだから、驚きを隠せない。