三国志ファン唖然、のちに感動…『パリピ孔明』とは何者か?

マニア垂涎のエピソードが次々と!
箱崎 みどり プロフィール

そして、『パリピ孔明』のさらなる魅力の一つが、孔明の策略です。初めは、EIKOと人気歌手MIAの対決で孔明が暗躍します。『三国志演義』にあるミステリアスな計略、巨石の配置で、一度入った敵が二度と出られなくなってしまう「石兵八陣」が、渋谷のクラブに出現! 人々の動きを操ります!

(作中では、三国志好きのオーナーが、「三国志」を知らなくても分かる完璧な解説をしてくれるのでご安心ください)

私は、今読めば荒唐無稽なところもある『三国志演義』を、現代の作家たちがどのように解釈し、合理的にアレンジしているかも研究しているのですが、現代化がすんなりハマった、こんなに見事な翻案には、なかなかお目にかかれません。

例えば、吉川英治『三国志』では、陣自体の謎には踏み込まずに、「石兵八陣」を仕掛けられた呉の陸遜が撤退したのは、魏が呉へ侵攻の予兆を見せていたからだ、と説明しています。

 

「石兵八陣」を使ったこのエピソードで、『パリピ孔明』への私の信頼度は、100%を超えました。

その後も、孔明が見せる様々な策略は、『三国志演義』を踏まえつつ、現代の音楽シーンに見事にハマっていくので、三国志が好きだけれど、でもまだ抵抗があるという方は、騙されたと思って、まず3話まで、ぜひ読んでみてください。

(ちなみに、2話の冒頭の孔明のセリフにある「母の茶を買いたいと願う実直な青年」は、吉川英治が創作した劉備のエピソードです。孔明なら、一晩で吉川『三国志』を読んだうえで、それを踏まえていそうです)