三国志ファン唖然、のちに感動…『パリピ孔明』とは何者か?

マニア垂涎のエピソードが次々と!
箱崎 みどり プロフィール

泣いて馬謖を斬る

まず仕事からと、EIKOに斡旋されてクラブのアルバイトの面接を受けた孔明は、三国志好きのオーナーから、「なぜ馬謖を街亭の守りに就かせた?」と尋ねられます。

この時点で孔明は、自分のことを孔明だと言い張るコスプレ男だと思われているのですが、「孔明だと言うなら答えられるだろう?」と重ねて問いかけられます。

おわかりでしょうか? 

この問いは、「泣いて馬謖を斬る」という諺のもとになったお話。孔明が重要地点・街亭を任せた馬謖という武将が、孔明の意に反し命令を破ってしまい、その結果、蜀軍は街亭を失い、大敗を喫するというエピソードです。

馬謖を登用したのは、孔明の過ち、今風に言えば、孔明の任命責任だと考えられています。

この質問自体が、孔明ファンが何度も「あそこで何故孔明は、実戦経験が乏しい馬謖に重要地点を任せたのか……!」と、悲しく、悔しく思い返すものなので、聞きにくいけれども孔明に聞いてみたいこと。

「いきなりなんてことを!」と、私は孔明の心中を思いやりながらも、一方で、「オーナー、よくぞ聞いてくれました!」と心の中で拍手を送りましたし、さらに、それを受けた孔明の静かな答えは、孔明自身も、後から苦い思いで、何度も何度も考えたのではないかと感じさせる切ないものです。

 

三国志好きをうならせる

その後に続く、クラブの音楽のテンポと、張飛の飲み方のテンポを重ね合わせる、蜀軍の日常を感じさせるエピソードや、率直な意見や素直な感想をストレートに伝えようという、戦乱の中に散る命をたくさん目にした前世の悔恨を元にした行動原理、バイト初日にマニュアルを読んだだけでバーテンダーの仕事をマスターする孔明など、現代の渋谷にあっても、孔明の行動の全てが、孔明らしさに溢れています。

『パリピ孔明』の孔明は、まさに、三国志好きが愛する孔明そのもの。

その視点で1話を読み返すと、「スマホを借りて4時間で、Wikipediaの自分の項目を見つけるほど使いこなしている孔明」「転生して一晩で、履歴書を手に働き口を求めて動く孔明」など、お話を動かす行動も、ギャグ的な要素も、真面目さと有能さに溢れていて、『三国志演義』からイメージされる孔明らしさ全開です。