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パンデミック・マーケットと信用緩和
近藤 駿介 プロフィール

FRBが打ち出した2つのサプライズを市場は好感する形になる可能性が高い。

しかし、FRBが臨時のFOMCを開催してまで実質ゼロ金利政策と量的緩和政策の復活を打ち出したということは、FRBが利下げだけで「パンデミック・マーケット」を食い止めることは難しいということを強く認識していることの裏返しでもある。

FRBが実質ゼロ金利政策と量的緩和政策の復活という打てる政策を全て打ち出したことで、バトンは政府に投げ返されたという見方が多いようだ。しかし、FRBは2つのサプライズに続く3つ目のサプライズを準備しているはずである。

「利下げと債券購入ではリセッション(景気後退)対応措置として不十分な場合、さまざまな資産購入を政策当局は許されるべきだ」

市場ではほとんど注目されなかったが、世界が「パンデミック・マーケット」の様相を強める直前の3月6日にボストン連銀のローゼングレン総裁がこうした注目すべき発言を行っている。

ローゼングレン総裁 〔PHOTO〕gettyimages

この発言は、現在FRBが購入できる資産を米国債と政府系機関が発行する債券、政府系住宅金融機関のモーゲージ債に限定している米連邦準備法を改正してでも、FRBがもっとリスクの高い証券の購入することを可能にするべきだという主旨である。

この発言の本質は、利下げと量的緩和に留まっている金融政策に「信用緩和」を加えるというものであり、「経済危機」を「金融システム」を切り離すことで「金融システム危機」を回避することを目指したものである。

「金融システム危機」とどう向き合うか

興味深いのはこうした発言をしたローゼングレン総裁が、昨年FRBが行った3回の利下げに全て反対票を投じてきた「タカ派」だったことだ。

最も金融緩和に反対してきた「タカ派」の代表格である地区連銀総裁が、米連邦準備法を改正してまでFRBがリスクの高い証券を購入することを提唱するということは、FRBが「経済危機」を「金融システム」から切り離すことで「金融システム危機」を回避する強い意志を持っていることの現れだと理解するべきだろう。

 

これまでもパウエルFRB議長は事あるごとに企業の債務は歴史的な高水準に達していること、中でも信用力の低い企業向けのレバレッジド・ローンとそれを束ねたCLO(ローン担保証券)が急速に増えてきていることに警鐘を鳴らしてきた。

それは景気悪化によって債務不履行(デフォルト)が増えればリーマン・ショックと同様の「金融システム危機」を招きかねないとの認識を持っているからである。