新型コロナ「世界同時株安」最もヤバいのは「日本人の年金」の可能性

パンデミック・マーケットと信用緩和
近藤 駿介 プロフィール

各国が打ち出している新型コロナウイルスの感染拡大の防止政策も減税を始めとした経済対策も、「時間」という点で「この1~2週間が瀬戸際」という状況に追い込まれた世界経済を直ちに救い出す救世主になれないことはほぼ明白である。

リーマン・ショックの二の舞となる「金融システム崩壊危機」を避けるために今必要な政策は「時間」を要する従来型の経済対策や利下げではなく、経済危機を金融システムから切り離すための思い切った政策である。

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いくつもの「サプライズ」

WHOが新型コロナウイルスの感染拡大を「パンデミック」と認定したことをうけ、トランプ大統領は11日に英国を除く欧州からの渡航停止を、さらに国家非常事態を宣言した翌日の14日には渡航規制を英国とアイルランドまで拡大するなど、「この1~2週間が瀬戸際」と思われている世界経済に対する逆風はさらに強まって来ており、ますます「時間」との戦いが厳しくなっている。

こうした状況下で今週17日~18日開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)で0.5%の利下げに動くと思われていたFRB(連邦準備理事会)は、15日(日本時間16日朝)に臨時のFOMCを開催し1.0%の緊急利下げと今後数ヵ月にわたって米国債などを7000億ドル(約75兆円)買い入れる量的緩和を決めた。これによって米国の政策金利は0~0.25%と4年3ヵ月ぶりに実質ゼロ金利となった。

FRBが週明けに1.0%の緊急利下げに打って出たのは、市場が0.5%の利下げを100%織込んでいた17日~18日のFOMCで0.5%の利下げを行っても、その効果に限界があると考えたからだと思われる。

それゆえにFRBは18日に予定されていた利下げを15日に前倒しするという「時間」的サプライズと、1.0%の利下げによって実質ゼロ金利政策を復活させるという市場が全く予想していなかった2つのサプライズを使って株価の買戻しを誘発させることを目指したのだろう。

 

2つのサプライズによって株価が反発させることが出来れば、株価下落による「金融危機不安」の拡大を一時的に抑えられる可能性があるからだ。

今回のFRBの緊急利下げは「時間」というサプライズを使って、「金融危機」が起きるまでの「時間」を買うことを目的とした政策変更だったといえる。