「わかる」と「できる」は違う

僕が子どもたちによく言うのは「わかる」と「できる」の違いです。わかっても、できないことはたくさんあります。

英語学習で考えてみましょう。僕は中学校で英語を教えていた時期があります。中学3年の英語では、現在完了形を教えます。「過去形なのか現在完了形なのか」という区別の部分で難しい面はありますが、基本的に文法構造はそれほど複雑なものではありませんので、比較的「得意!」と思っている子どもも多くいました。けれど即興で話すスピーキングテスト(もしくはライティングテスト)などを実施すると、現在完了形を使って自己表現する子どもはほとんどいないのです。

高校生になってくると、ようやく使用率も少しずつ増えてきますが、僕自身、現在完了形を実際に使えるようになったのは大学生になってからでした。ルールを理解していることと、実際に使えることは別のレベルなのです。

「テスト」では現在完了形を上手に書けるのに、いざ自分がゼロから文章を話す、書く、となると使えない。それは「理解はしても使えない」から。失敗を恐れずに話してみることで、失敗がどんどん修正されるのだ Photo by iStock

テストで高い点数が取れる子どもは、英語がわかっているかもしれません。それなのに、英語が使えないのは「わかる」を「できる」に昇華できていないため。インプットした知識を間違えずにアウトプットすることが求められ、「わかる」で終わっていたのが、知識重視型のこれまでの日本の教育です。

けれど、AIが多くの問題を解決してくれる時代には、知識と自分だけの体験を組みあわせたその人にしかできないアウトプットが求められるようになります。まさにそれが、「わかる」ではなく「できる」です。