「Global Teacher Prize(グローバル・ティーチャー賞/以下GTP)」と聞いて、「知っている」と言う日本人はまだ少ないかもしれない。イギリスの国際教育機関Varkey財団が設立した「教育界のノーベル賞」とも称される賞で、優勝者への賞金は100万ドル(約1億1000万円)。2019年、全世界150ヵ国、およそ3万人のエントリーのなかから、この権威ある賞のTOP10に選ばれたのが、京都・立命館小学校の正頭英和教諭だ。

正頭先生の授業が世界トップクラスとして評価されたのは、ICT(インフォメーション&コミュニケーション・テクノロジー)を活用し、英語、プログラミング、デザインなど、教科の壁を取り払った教育の取り組みをしている点だ。AI(人工知能)が数々の職業を奪うと言われるこれからの時代、AIに負けない子どもを育てるために大人たちに必要な常識のシフトチェンジとは? おもに、3月12日発売の著書『世界トップティーチャーが教える 子どもの未来が変わる英語の教科書』からの抜粋で、正頭さんが語る、今、世界で活躍できる子どもに必要な教育とは何かをお伝えしよう。

撮影/山本遼 
正頭英和 Hidekazu Shoto  
立命館小学校教諭/ICT教育部長。1983年大阪府生まれ。関西外国語大学外国語学部卒業。関西大学大学院修了(外国語教育学修士)。京都市公立中学校、立命館中学校・高等学校を経て現職。「英語」に加えて「ICT科」の授業も担当。2019年、「教育界のノーベル賞」と呼ばれる「Global Teacher Prize(グローバル・ティーチャー賞)」トップ10に、世界約150ヵ国・約3万人の中から、日本人小学校教員初で選出される。AI時代・グローバル時代の教育をテーマにした講演も多数。

英語力を決めるのは「失敗の数」

僕は帰国子女でもなく、留学経験もありません。通ったのは、大阪のごく普通の公立小・中・高。日本の大学と大学院で英語の教育は学びましたが、特別な英会話スクールに通ったこともありません。それでも普段、オールイングリッシュの授業を行い、外国人教師たちとも英語でコミュニケーションをしています。GTPの表彰式では、もちろん英語でスピーチをしました。そんな僕の英語を聞いて「どうしてそんなに英語がお上手なんですか?」と驚かれる保護者もいらっしゃいます。

ドバイで行われたGTP授賞式のプレゼンター、ヒュー・ジャックマンと正頭さんとの2ショット

日本にいながらにしてどうして僕が英語を身につけることができたのか。僕が人よりも英語ができるとしたら、それは、人よりはるかに英語で失敗して恥をかいた経験が多いからだと考えています。英語力が伸びるかどうかは失敗の数で決まる。僕はそう思っています。