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日韓で50万部超え!『反日種族主義』はなぜ大ヒットしたのか?

日本は利用されたにすぎない
澤田 克己 プロフィール

日本は利用されたにすぎない

結局、『反日種族主義』で問題にされるのは進歩派の「反日」である。現在は保守派に分類される金泳三(キムヨンサム)大統領も俎上に乗せられているが、金泳三はもともと、李承晩、朴正煕と相対した民主化運動出身である。著者らの考える保守本流とは違うのだろう。

保守系大手紙・朝鮮日報のベテラン政治記者はこの本について「内容が素晴らしいとは言わない」と前置きしつつ、「こうした本が出てこざるをえないのは文政権による保守派攻撃がひどすぎるからだ」と釈明する。

『反日種族主義』という本は結局、文政権によってコーナーに追いつめられた保守勢力、その中でも現実政治で対抗するほどの力を持たない弱小グループからの反撃なのだ。決死の反撃だから、敵意を前面に出した極端な書き方になったのだろう。

韓国では政策論争などで「論理の開発」が大切だとされ、相手を言い負かすための論理構築が重視される。言葉の戦いで権力闘争を行ってきた朝鮮王朝以来の伝統が、民主化を経て復活したものだ。この本も主眼はあくまで文政権への反撃にあるので、「日本」はちょうどいいツールとして利用されたにすぎない。

 

この本は韓国で10万部を超えるベストセラーとなったが、11月に出版された日本語版の売れ行きは発売1カ月で30万部を超え、本国をはるかに上回る売れ行きとなった。
こちらの記事によると、日本語版は2020年1月時点で40万部に達している

日本での驚異的な売り上げは「韓国人による反日批判」にカタルシスを感じる人の多さを反映したものであろう。その気持ちも理解できるのだが、かといってこの本の政治性を等閑視してまで一方的にもてはやす風潮に、私は違和感を禁じえないのである。