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日韓で50万部超え!『反日種族主義』はなぜ大ヒットしたのか?

日本は利用されたにすぎない
澤田 克己 プロフィール

『反日種族主義』が体現する韓国社会の分断

『反日種族主義』という本も、こうした分断を体現したものだ。書きぶりが攻撃的で、著者の持つ怨念というか、文政権に代表される進歩派勢力への敵意が非常に強く前面に出た本という印象を受ける。

おもに取り上げられている内容は、日本人から見たら常軌を逸しているように見える「反日」。内容についての評価は後述するが、的を射ている点もある。ただ、資料の一方的な解釈が度を越していると思われる部分も目立つ。

もっとも気になるのは、著者の政治的立場を反映した選択的な記述である。

代表は、初代大統領である李承晩(イスンマン)や、朴正煕(パクチョンヒ)路線の後継者たる全斗煥(チョンドゥファン)らの「反日」をスルーしていることだ。

全斗煥大統領とロナルド・レーガン大統領(1985年)〔PHOTO〕Gettyimages

韓国の保守派は李承晩を独立運動家出身の「建国の父」と規定するが、進歩派にとっては「日本の植民地支配に協力した親日派と結託した裏切り者」である。

実際の李承晩は激しい反日意識の持ち主で、公海上に一方的な「李承晩ライン」を設定して日本漁船を拿捕し、数千人の日本人漁民を抑留した。サッカー・ワールドカップ(W杯)の予選のためでも日本人の入国を認めなかったため、日韓戦が東京での2連戦になったこともある。

この時は「サッカーなら絶対に勝てる」と説得されて韓国選手の日本行きを認めたが、「行ってもいいが、責任は取れ。もし負けたら、玄界灘にそのまま身を投げろ」と言い放ったとされる。

 

同様に触れられないものに、独立運動家への拷問を再現した人形など「反日的展示」で有名な独立記念館がある。全斗煥政権が、日本の歴史教科書問題を受けた国民運動を展開して作ったものだ。展示内容には首をかしげざるをえないものが少なくないのだが、これも問題視されることはない。

日本語版では注釈で「主として19世紀後半以後の日本による侵略と、それに対抗した朝鮮人の独立運動に関する展示を行っている」と紹介されていた。