新型コロナウイルスの感染後遺症が中国経済を直撃している――。中国の2020年1-3月期のGDPは「初のマイナス」に大きく沈みこみ、中国経済の急落下ぶりが明らかになってきたのだ。
そんなコロナ危機の衝撃が走るウラで、いま中国では習近平国家主席がみずからの権力維持のための「ある企て」を進めていることをご存じだろうか。習近平の計画がこのまま進めば、世界にとって新型コロナウイルス以上に警戒を要する事態にすらなりかねない――そう警告する社会学者・橋爪大三郎氏による緊急レポート!
習近平とプーチン。両大国のリーダーが、このところますます、独裁の傾向を強めている。果たしてこれは、あの忌まわしい全体主義の再来なのだろうか。その権力の正体を、見すえてみよう。
習近平は、二期10年で交替するというこれまでのルールに従わず、後継者を選ばなかった。本来なら、2017年の全国代表大会で、若い世代のリーダーが後継候補に抜擢されるはずだった。トウ小平(とう・しょうへい)の決めたルールである。
それを無視したのは、三期目も、もしかするとそれ以降も続投するつもりではないか。毛沢東のように終生、権力の座にとどまるつもりか。さまざまな憶測をよんでいる。
習近平が長期政権を望んでも、彼ひとりの考えで実現するわけではない。それを支持する、大勢の共産党の幹部がいるということだ。