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習近平とプーチンの「独裁化」でこれから起きる「悲惨シナリオ」の中身

殺害、粛清、監視、秘密警察…
橋爪 大三郎 プロフィール

「秘密警察」の恐ろしさ

赤軍を監視するのが共産党だとすると、共産党を監視するのが秘密警察である。秘密警察は、通常の警察と違っている。

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通常の警察は、裁判所の令状にもとづいて容疑者を逮捕し、取り調べ、証拠を集めて送検する。検察官は容疑者を起訴して、裁判で有罪を立証する。

秘密警察は、こんなことはしない。令状なしで勝手に逮捕し、延々と取り調べをし、拷問を加え、しばしば容疑者を殺害する。葬儀も墓もなく、事件はなかったことになってしまう。

スターリンは権力を保つため、粛清を繰り返した。その主役は秘密警察だ。

秘密警察はこうして大きな権力を手にする。では秘密警察をコントロールするにはどうしたらよいか。ハンナ・アレント『全体主義の起源』は、その手口を明らかにしている。秘密警察をいくつもつくるのだ。

 

秘密警察A、B、Cをつくったとする。秘密警察Aは秘密警察Bを監視し、秘密警察Bは秘密警察Cを監視し、秘密警察Cは秘密警察Aを監視する。

監視した結果は別々に、党中央に報告させる。そうすればどの秘密警察も、好きなときに粛清できる。実際そうやって、今度はこの秘密警察にあの秘密警察を粛清させる、を順番に繰り返したという。

軍人も、共産党員も、秘密警察の職員も、大量に粛清された。空いたポストに大勢が昇進した。密告が奨励された。密告されれば粛清される。つぎは自分の番かも、と怯えて過ごす。

何が正しいかを決めるのは党中央だ。金縛りで思考停止に陥るのが、スターリニズムなのである。

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