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また独裁強化、習近平とプーチンの「ヤバい狙い」と「世界への影響」

全体主義と化す危険性が出てきた
橋爪 大三郎 プロフィール

中国共産党とプーチン政権は「全体主義」と化すか?

ナチズムとよく似たものに、ファシズムがあった。イタリアのムッソリーニは、ファシストの独裁政権を樹立した。

けれどもアレントによると、ファシズムは、全体主義とは言いにくい。ファシスト党は政権をとると、政府の要職を独占して満足してしまい、政党として機能しなくなった。政府と党の、権力の二重構造ができなかったので、全体主義として中途半端で不完全だという。全体主義の典型は、ナチズムとスターリニズムなのである。

政府と党の二重構造とは、どういうものか。政府に財務/外務/農林/保健衛生/…などの業務分担があるように、党にも財務/外務/農林/保健衛生/…などの業務分担がある。鏡で写したように、そっくりになっている。

そして、党のほうが地位が高くて政府を指導する。政府は、言われたことをやるだけ。党は、政府や憲法を超えた存在なので、人びとのコントロールが及ばない。権力は党に集中し、党の指導者に集中するのである。

〔photo〕gettyimages

革命を進め、戦争を進めるのに、この仕組みは有効だった。権力を集中するのだから、独裁になる。20世紀を特徴づけたのは、こうした全体主義だ。自由を掲げる国々が全体主義を打ち倒すのには、大変な時間とコストがかかった。

さて、アレントが『全体主義の起源』を書いた当時、中華人民共和国は成立したばかりだった。中国共産党のことは、この本に出てこない。

 

いま中国の共産党政権は、世界に影響力をもつ巨大な存在になった。中国の共産党政権は、もうひとつの全体主義なのか。ロシアのプーチン政権も、全体主義なのか。アレントならこの二つの政権を、どのように分析するだろうか。

これは大きな宿題である。

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