ありがたいことに『未来の年表』は、続編の『未来の年表2』および『未来の地図帳』と合わせて88万部を超すベストセラーとなった。いまだ増刷が続いている。これだけ多くの読者に恵まれたのは、この問題を真剣に考えようとしている人々が多くなった証でもある。
私は、2020年以降にこそ、『未来の年表』シリーズが役立つと考える。それは必ずや2020年代を歩む際のガイドブックになる。ただ、〝旅のガイドブック〟とする以上、読みやすいボリュームであることが求められよう。
そこで、新書の内容をさらにシンプルに再編したのが『全予測 2020年代の日本――図解・未来の年表』である。
この本に込めた思いは3つある。キーワードは「さらに知る」「もっと深める」「まだ間に合う」だ。
『未来の年表』シリーズは人口減少日本で起きることのほんの一端を紹介したにすぎない。残念ながら紙幅の都合で割愛した項目も多かった。また、その後アップデートされたデータもある。
そこで『全予測 2020年代の日本』は「さらに知る」ことができるよう、極力最新のデータを反映しつつ、「新・人口減少カレンダー」のような新しい内容も盛り込んだ。必ずや新たな発見があるだろう。
2つ目の「もっと深める」とは、知識の整理であり、行動するにあたって重要な作業となる。『未来の年表』シリーズを読んでくださった読者は、1冊1冊の内容を深くご理解いただけたと思うが、知識はしっかり咀嚼しないと、時に思考停止に陥るものだ。
最後の「まだ間に合う」とは、文字通りである。『未来の年表』の存在は気になっていても、仕事や勉強に追われてついつい読みそびれたという人も少なくないだろう。1冊目、2冊目しか読んでいない人も多いに違いない。
だが、『全予測 2020年代の日本』を読めば、人口減少問題を短時間で理解できる。ここで時間を一挙に取り戻し、今から対策を考えれば「まだ間に合う」のだ。
ここで、先に述べた「新・人口減少カレンダー」の中身について、少しだけ触れてみよう。
シリーズ最初の『未来の年表』(2017年刊)で、私は、「人口減少カレンダー」を編纂して日本の行く末を展望した。
たとえば、2020年は「日本人女性の半数が50歳以上になる」、2021年は「介護離職が大量発生する」と予言した。
2020年代に突入した今、改めて未来を眺めて「新・人口減少カレンダー」を編んでみると、より明瞭に人口減少の深刻さが見えてくる。