2020年代を迎えた。
米中貿易戦争や英国のEU離脱、あるいは新型コロナウィルスのような感染症リスクに代表される世界的な不確定要素が山積し、これまでになく「未来」への関心が高まっている。 これから日本社会はどう変貌していくのだろうか?
2020年代を一言で語るならば、「人口減少に伴う課題が、いよいよ深刻化する時代」――私にはそう思われる。
残念ながら、日本の少子化は止まらない。私の著書『未来の年表』シリーズを読んでくださっている皆さんはおわかりだろうが、過去の少子化が影響して出産可能な若き女性の人口が激減してゆくからだ。
2019年、年間出生数は90万人を割り込み、減少スピードは加速している。 一方で、高齢化も進んでいく。街にはお年寄りの姿が目立つようになったが、高齢者の数はまだまだ増え続ける。しかも、その多くは80代以上のひとり暮らしだ。こうしたお年寄りの生活サポートに、各自治体は頭を痛めざるを得なくなるだろう。
そして、2020年代の日本最大の悩みは、勤労世代(20~64歳)の減少だ。あらゆる職種で人手不足が続く。〝買い物難民〟〝引っ越し難民〟といった言葉が珍しくなくなったが、これまで「当たり前」と思い込んできたサービスが享受できないことを思い知らされるに違いない。
こうした〝不都合な真実〟から目をそらし、対応を怠るならば、遠からず日本社会は大混乱に陥る。それは、私たちが豊かな暮らしを手放すことも意味する。
かくなるうえは、人口減少に耐えうる社会へと日本を作り替えるしかない。過去の常識や成功体験を脇に置いて、新しいやり方を模索しなければならないのである。
そのためには、これから何が起こるのかを知る必要がある。人口減少社会の予想図を克明に描いた『未来の年表』を警世の書として私が送り出したのは2017年のことであった。
あれから時間が経過し、シリーズをお読みいただいた方々から、「現実が後から追いかけてきた」という声をたくさんいただくようになった。各地で百貨店は店じまいをし、コンビニエンスストアは24時間営業を見直し始めた。地方銀行は経営統合に生き残りをかけようとし、大都市にも空き家が目立ち始めている。