現在、全国の子育てするLGBTとその周辺をつなげる活動をしている「にじいろかぞく」の代表・小野春さん。彼女自身もバイセクシャルで、同性パートナーの麻ちゃんと、母2人子供3人の5人家族で15年間生活してきました。

小野さんのLGBTとしての目覚めや、麻ちゃんとの出会い。子育ての大変さや、カミングアウト問題といった、これまでの軌跡を赤裸々につづった本『母ふたりで“かぞく”はじめました。』が3月27日に発売されます。それを記念してFRaU WEBでは、4回にわたり特別に本書から一部を抜粋してご紹介してきましたが、これで最終回。

今回にお届けするのは、「LGBT家庭で育った子どもたち」について。そもそも「普通」ってなんなのでしょうか? 子どもたちとその学校とのつながりから見えてきた、今の日本社会の希望と今後の願いとは?

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「普通」ってなんだろう?

ある日、中学生になった娘が、学校から帰ってきてカバンを置くのもそこそこに、こうのたもうたのです。

ねえねえ、ママたちってレズビアンだったんだね!

「な、な、な、なんとおっしゃいましたか、今?」。娘の口からストレートに聞くと、これまたまったく違う衝撃があります。まさか娘の口から「レズビアン」なんて単語が出てくるとは思いませんでした。

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「っていうか、あなたは結婚式にも出たじゃない!(結婚式の記事はこちらから) あの時カミングアウトもしたよね? なにを今さら?」と言うと、「えー、いやさー。今日学校でゲイとかレズビアンの話が出てさぁ。それを聞いて“あ、そうか、ママたちはレズビアンだったのか!”って頭のなかでつながったんだよ。言葉は知ってたけどさ、それとママたちとがつながってなかった!」。

「じゃあ結婚式はなんだと思ってたの?」と聞くと、「あー。あれは家族になる儀式だと思ってた。そうかー、あれはふたりの結婚式だったのか!」と納得のご様子。あんなに緊張してカミングアウトしたというのに、娘にはまったく伝わっていなかったのです。

しかし、学校で“ゲイ”や“レズビアン”なんて言葉が出てくるとは。時代が変わってきてるんですね。そして、LGBTの家庭で育った子どもたちには、ごくごく当たり前の家族の日常と、“ゲイ”や“レズビアン”といった言葉を結び直す瞬間があるのだと気づいたのです(高校生になった次男も「小さい頃は、自分の家のことを“ごくごく普通”だと思っていたけど、小学校の高学年になった頃『これは世間で言うところの“普通”じゃないんだな』と気づいて、びっくりした」と言っていました)。

この一件以来、家族会議で「学校にもそろそろカミングアウトをしても良いのでは?」と話し合い、その学期最後の保護者面談で、麻ちゃんが娘の担任の先生にカミングアウトしました。担任の若い男の先生は「ああそうですか」という、さらりとした受け止め方だったそうです。