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「スマホ依存症」の重症化は「意志の強さ」では解決しない

処方箋はあるのか?

本人の意志では克服できない

スマホ依存から脳を守る』は依存症治療の第一人者である中山秀紀氏(独立行政法人国立病院機構「久里浜医療センター」精神科医長)によるスマホ依存症対策に関する優れた啓蒙書だ。

2019年5月25日に行われた世界保健機関(WHO)の総会で、ゲーム依存症が精神疾患に分類されることになった。

〈世界保健機関で作成された『国際疾病分類 第10回改訂版(ICD-10)』によると、「依存症候群」とは、「ある物質あるいはある種の物質使用が、その人にとって以前にはより大きな価値をもっていた他の行動より、はるかに優先するようになる一群の生理的、行動的、認知的現象……」と記載されています。

 

この『ICD-10』は、2020年現在世界中で用いられています。(中略)ゲーム障害が収載されているのは、『国際疾病分類 第11回改訂版(ICD-11)』で2022年より正式に発効し、今後使用される予定のものです。

これをわかりやすく述べると、「他の大切なもの(たとえば仕事や学業、家族など)よりも、ある物質の使用をはるかに優先する」ということです。「ある物質」が「ある行為(ギャンブルやゲームなど)や人間関係」になることもあります〉

評者は、複数の高校と大学の教壇に立っているが、生徒や学生でゲームに依存してしまい学業に支障が生じている事例をいくつか見ている。本人や保護者、教師たちも、それを依存症とは受け止めずに、本人の意志の弱さと誤解している。依存症は疾患であり、本人の意志によって克服できる問題ではない。

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ここで鍵になるのが、「負の強化」という概念だ。少し長くなるが重要な事柄なので関連部分を正確に引用しておく。