これからの世界のあり方とは? SDGsという言葉が生まれる前から、未来を見据えて活動してきた人たちがいます。社会のため、環境のため、人のため。目指したのは、地球の明るい未来とサステナブルなライフスタイル。先人たちが示した活動の道しるべに、世界を変えるヒントがあります。

美しさを追求する美容の世界は時に相反する力を伴うもの。髪に施される化学物質が、体を傷つけ、環境破壊につながることもあります。真の美しさとは何か。そんな疑問を抱き、ひとり自然派美容をはじめた美容師シャスティン・ストロムベリ。彼女に話を伺いました。

環境を守ってこその美しさ
行動が未来を変えていく

カットしている時は静寂が大切。1人のケアに集中したいから1日2名限定としている。髪を傷つけないようにほんの少しずつカットしていく。

1日2名限定。自然派美容師シャスティン・ストロムベリの営むサロン〈ハービアン〉は、スウェーデンのスコーネ県北部ヘッスレホルム郊外にある。シャスティンが“自然派美容師”と言われる所以はその施術にある。

食品や化粧品はオーガニック志向でも、髪に与えるカラーリングやパーマ液はケミカルな成分を使っている人が多いのでは?」、そんな矛盾を解決すべく、市販のシャンプー類は一切使わない。さまざまなハーブを駆使して、その人にあったものを組み合わせて行うスタイルはさながら治療のようでもある。今では髪に触れるだけで、どのハーブを使うと良いかわかるという。

シャンプー台だがシャンプーは使わず、海藻か粘土で洗浄する。その時の体調が髪に表れるので触って決め、リンスもハーブで。窓の外は森に囲まれている贅沢な空間。ここで心身のバランスを調整する。

10代後半からずっと美容師として働いてきたシャスティン。毎日ケミカルな薬品を使い、客にパーマやカラーリングを施していた。次第に自分でもわかるくらい全身から薬品臭が漂うようになり、手も荒れ放題に。体にも環境にもよくないことだとわかっていたが仕事と割り切り続けていた。

疑問を感じたのは、一緒に暮らす父親のぜんそくが悪化したこと。自分が直接の原因ではないかもしれないが、仕事後は薬品にまみれた体を洗ってからでないと父に会えない。そんなある日、長女がアレルギーを発症し、顔がパンパンに腫れ上がった。検査の結果、食品添加物によるものと判明。

「食べられるものが一つもない」と友人に悩みをぶつけたときに返ってきたのは「あなたのやっていることも同じでは?」という言葉だった。口から体内に入れるものではないにせよ、化学薬品を髪の毛に与えていることは、同じことを意味していた