【PR】日本生命が「SDGs」に本気で取り組む理由

CHIZURU YAMAUCHI
HIROKI ANDO

山内千鶴・安東弘樹

2020.04.02 Thu


左)山内千鶴さん(日本生命保険相互会社 取締役常務執行役員) 右)安東弘樹さん(フリーアナウンサー)

前編では、7万人を超える大組織のなかで、女性活躍や男性従業員の育児休業取得率100%を推し進めたお話を、日本生命保険取締役常務執行役員の山内千鶴さんにお聞きしました。後編では、現在、日本生命が進めているSDGsの取り組みの具体的内容をうかがいます。

企業とSDGsの関係性

安東 企業はSDGsにどう向き合うべきとお考えでしょうか。

山内 SDGsは社会貢献だからお金がある企業がやればいい、は誤解です。SDGsで扱う課題の解決は、社会的なニーズであり、それに取り組むことはどの企業にとっても意味があることです。もっと言えば、ビジネスチャンスといえます。しかも、SDGsは世界の共通言語ですから、グローバル展開への可能性などが期待でき、結果的に企業自身をサステナブルにすることにつながります。

安東 どうしても「社会貢献」などの言葉になると、自分とは関係のない別世界のことのように感じてしまいます。しかし、そうではない、と。

山内 そのとおりで、企業がそれぞれ自分たちの得意分野で問題を解決すればいいのだと思います。イノベーションや変革を起こすことが必要になるのは確かですが、それが自社の永続につながると分かれば、前向きに取り組めるのではないでしょうか。

安東 食品会社や化粧品、アパレルといった一般消費財をつくっているメーカーにとっては重要な目標になることはある程度想像できるのですが、日本生命のような形のない金融商品を取り扱っている企業でも当然関わってくるわけですね。

山内 SDGsの大きな柱は「貧困」ですが、生命保険という商品は、一家の大黒柱を失った家族や、自身が病気になった時に保険があることによって貧困に陥ることを防ぐ商品です。それは社会的に弱い立場の人を生まないための助け合いの仕組みであり、国内外への生命保険の普及は「1.貧困をなくそう」という目標に一致します。その意味で日本生命が創業以来、「共存共栄」・「相互扶助」の精神で脈々と継承し発展させてきた活動は、SDGsが目指す社会を実現する活動そのものだと考えました。

安東 なるほど。生命保険の仕組み自体がSDGs目標達成に通じるものがあるということですね。

SDGsに取り組むための指南書

安東 SDGsが国連総会で採択されて5年が経とうとしていますが、企業の実務担当者の話として、「何から取り組んだらよいのか分からない。」という声もあるようです。日本生命はどのように進めていったのでしょうか?

山内 私たちもSDGsの重要性は分かっても、何から始めればいいのかすごく悩みましたので、様々な専門書を読みあさりました。その過程で出会ったのが「SDG Compass」で、いわばSDGsに取り組むための指南書です。

安東 手引書があるのですね。知りませんでした。

山内 この「SDG Compass」には、第1ステップから第5ステップまでの手順や方法が示されており、そのステップに沿って当社の取り組みを考えました。

安東 ステップごとのポイントについて、日本生命での具体例を交えながら教えていただけますか?

山内 はい。ステップ1ですが、役員勉強会の開催、従業員向けの教材の作成、社内イントラネットで受講できるWEB研修などで、まず「理解する」ことから始めました。また、SDGsピンバッチの斡旋やSDGsカードゲームも実施しました。

安東 実は今日ここに来る前、ラジオの生放送をやってきたのですが、その時のゲストの方もこのバッチをしていました。ピンバッチをしている人を見るとお互い仲間という気持ちになるのでしょうね。

山内 そこが狙いなのです(笑)。SDGsをやると決めた年度に、役員・部長などの上位役職層にまず配ってつけてもらいました。社外の方とお会いした時、このバッチの話題が出ることが多いため、自然にSDGsについて学ぶ必要性がでてきました。

山内 ステップ2は「優先課題の決定」。これはSDGsの17ゴールおよび169ターゲットと、当社の事業で関連する取り組みを紐付したのち、どのような領域で日本生命らしさが発揮できるのかを洗い出し、当社が注力するSDGsの10のゴールを特定しました。かなりの労力を費やしましたが、企業理念をあらためて実感する、良い効用も生まれ、従業員向け教材の作成に役立ちました。

安東 ステップ2では自社ならではの貢献ができる要素を出すことが重要ですね。

山内 そうですね。そしてステップ3は「目標の設定」です。ステップ2で特定したゴールを土台に、様々な部門での検討・アイデア出し、若手層の意見集約、外部有識者とのダイアログを通じて、「SDGs達成に向けた当社の目指す姿」を設定しました。

山内 ステップ4では、「目指す姿」に沿って各事業部門が具体的な取り組みに反映しました。そして、最後のステップ5では、当社公式ホームページに掲載しているサステナビリティレポート等で取り組みを公表しました。また、目指す姿に関する具体取り組みは2019年11月に公表し、今後も定期的に進捗状況を報告いたします。(公表内容はこちら

安東 少し話は変わりますが、私が以前に所属していた会社にもCSR推進部という組織があり、一生懸命社会貢献に取り組んでいましたが、逆に社会貢献はその部署だけがやるものだと、多くの社員が考えていたように思います。多くの企業ではそれが悩みとして抱えている気がします。

山内 おっしゃるとおりですね。当社は5年前に社会貢献活動を全員参加でやることを決めました。私は、決めたら実践するという強い気持ちで、その壁をどう乗り越えようかと、ワクワクしながら、どこから調理しようかと、考えてしまいます(笑)。この全員参加型の社会貢献活動も5年連続100%達成しています。

安東 その性格がなにより素晴らしいですね(笑)。

山内 SDGsについても3年前、今以上にSDGsが世の中に浸透していない時に、当時の社長がお客様から当社の取り組みを質問され、「まだまだこれからですね。」と答える機会があったそうです。その直後に社長から、「役員対象にSDGsの勉強会をやってくれ。」と急に指示され、私は「これで進む!」と嬉しかったですね(笑)。トップが本気になると、何事も進む速度のギアが上がります。社長からの指示や引き続きの支援は非常に大きかったですね。

安東 そういう話をニコニコしながら、されているときの山内さん、とても素敵です(笑)。色々とSDGs取り組みの考え方や方法がよく分かりました。ただ、勉強中の私からしたら、具体的なイメージがまだ湧いていないというのが正直なところです。ここからは今後の展望についておうかがいしたいと思います。

社会課題解決は、志を同じくする企業・団体と共に

山内 日本生命では2019年3月に「SDGs達成に向けた当社の目指す姿」を公表しています。この中で3つのテーマを設定しましたが、ここでは1つ目の「貧困や格差を生まない社会の実現」を中心にお話ししたいと思います。

安東 SDGsは全て重要な課題ですが、特に貧困や格差は身近な問題ですね。

山内 今日の日本では、7人に1人の子どもが相対的貧困な状態にあり、次世代への貧困連鎖が社会課題となっています。生命保険が果たす本質的な役割である“新たな貧困を生まない”という観点に立ち返り、あらゆる人々が活躍できる社会の実現に貢献すべく、「SDGs達成に向けた当社の目指す姿」の一つのテーマに「貧困や格差を生まない社会の実現」を設定しました。

安東 日本でも経済格差が広がり、貧困があることは見落とすことはできません。セーフティー・ネットは国などの公的機関の担当分野なのかもしれませんが、企業の果たせる部分もあるのでしょうね。

山内 急を要する方には経済的援助も必要ですが、自立に向けて手助けをすることを我々は目指すことにしました。経済的・社会的な理由等で困難を抱える女性の自立支援を行う「若草プロジェクト」への参画がその一つです。

安東 瀬戸内寂聴さんと村木厚子さんが参加されているプロジェクトですね。

山内 村木さんが、拘置所には若い女性が大勢入っていることを知り、原因を調べてみると、その多くは居場所がない子どもたちだということが分かりました。家庭で虐められたり性的虐待を受けたりしている少女です。そうした十代の少女に優しく声をかける人の中には善人では無い人もいて、気がついたときには覚せい剤を打たれ、売春をさせられ、最後は犯罪者になってしまう。これをなんとかしたいと思われたのがこのプロジェクトのきっかけだそうです。村木さん著作の「日本型組織の病を考えるにこのあたりの話が詳細に書かれているので是非読んで欲しいです。そして、日本生命もこのプロジェクトに賛同し、4年前から協賛させてもらっていましたが、2019年10月に、SDGsへの取り組みの一環として正式に連携協定を結ぶことになりました。

安東 具体的な支援としてはどのようなことをされているのですか。

山内 このプロジェクトでは「つなぐ・まなぶ・ひろめる」という3つの活動軸を掲げていますが、当社はこのうち「まなぶ」「ひろめる」の一環として、社内セミナー等の広報支援に加え、キャリア・金融教育支援等を行う予定です。例えば「まなぶ」として、先日も統括理事の村木太郎氏による社内講演会を実施し、若い女性たちが抱える現状について講義いただくとともに、当社への期待についても語っていただきました。

また、彼女たちが社会に出た時、不足しているもののひとつが、お金の使い方の知識や、困った時の支援先を知らないことだと分かりました。そうした教育的要素の自立支援は協力できると思っています。あとは「ひろめる」として全国で活動する営業職員が、支援してくれる窓口を紹介するなどの情報提供もできるのではないか、現在検討を進めています。

安東 私は、幼い頃に両親が離婚し母親に育てられたのですが、女性を大切にしなさい、と強く教えられました。女性が悲しんでいる様子を見るのがとにかくつらいし、大人の責任は重大だと思います。

山内 性差別の話をすると「本人が弱いからそういう目に遭うのではないか。」と考える人もいるようですが、本人だけの問題ではないということ、まずは現実を知ってもらうことは大きな意味があると言えますね。

安東 少子化が社会課題となっていて、持続可能な社会のためには女性と子どもが幸せでないといけません。女性と子どもが安心して暮らせることは、健全な社会になると思います。日本生命の保険にも女性活躍を支える商品がありますね。

山内 働く女性が増えるのに伴い、晩婚・晩産の例も増えてきており、私の周りにも不妊治療を受けている人が増えています。そこで3年前、当社は社会課題の解決にもつながると考え、「シュシュ」という出産や不妊治療に備える保険をつくりました。

安東 不妊治療は非常に高額になることが多いようですから、なかには経済的な事情で治療を諦める人もいるでしょう。そういう人の助けになるのは素晴らしいと思います。今後はますますニーズが高くなるでしょうね。

山内 そうですね。昨今、様々な社会課題がありますが、この解決を1企業で対応するには限界があると考えています。当社は、経済的・社会的な理由等で困難を抱える女性の自立支援を行う「若草プロジェクト」と包括協定を結びましたが、社会課題を解決していくには、志を同じくする企業や団体とのパートナーシップが重要と考えており、今後もパートナーとともに持続可能な社会づくりを目指していきたいです。

大事なのは「風土」をつくること

安東 ここまでSDGsの達成に向けた日本生命の取り組みをいくつか教えていただきましたが、一番の苦労というとどういう点でしたでしょうか。

山内 まさにこれからです。目指す姿は社会的課題の解決が目的なので、貧困格差や健康長寿の取り組みにおいて、政府の数値目標はあっても当社の貢献度合いが見える数値目標などが立てられていないのが悩みですね。

安東 大きな目標に向かって頑張ることは大切ですが、頑張りの中身を可視化し、数値目標を設定することで、成果の達成具合を感じられるようにすることが大事ですね。

山内 はい。さらに、あらゆる企業や団体は、社会に貢献しているから存続しています。その意味で、SDGsも通常の企業活動も向かっている方向は同じはずです。ただ、SDGsの達成期限である2030年までに結果を出すためには、今やっていることの延長だけでは届きません。どこかでイノベーションや変革を起こし、ジャンプアップすることが必要です。今はその試行錯誤の段階で、とても重要な時期だと感じています。

安東 個人の力、企業の力でイノベーションを起こすことができれば、SDGsの目標達成に一歩も二歩も近づくことになるのは間違いありません。その先駆けとしても日本生命の男性育児休業取得100%や女性管理職比率20%という目標を達成したことや、様々な社会貢献活動は他の企業にとっても一つの励みになるのではないでしょうか。

山内 まだまだ満足はしていませんが、初年度に100%取得を実現したことで男性従業員が育児休業を取りやすい風土に繋がったと感じています。「制度」をつくることは大切ですが、それ以上に重要なのはその制度を生かせる「風土」をつくることです。このような風土をつくることで、その環境で働く人たちの意識が変わり、意識が変わると行動が変わります。本当の目標は企業文化や風土を変えることだと考えていて、それが徐々に出来てきたことがなにより嬉しいことですね。

安東 数値目標は風土を変えるための通過点ということですね。数値目標をクリアするうちに知らず知らず風土が変わっていく。それも個別の企業からはじまり、社会全体の価値観が変わっていく。それが本当のSDGsの目指す姿なのでしょうね。

山内 まさにそのとおりだと私も思います。企業にとって、変革を起こすことがSDGsの本質と考えています。

安東 今日は山内さんにお話をお聞きすることができて、本当によかったと思います。ありがとうございました。

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山内千鶴・安東弘樹(やまうちちづる・あんどうひろき)

山内千鶴:日本生命保険相互会社 取締役常務執行役員。1975年同社に入社。1999年総合職へコースを変更後、営業部にてマネジメント職務・ライフプラザ店長等を経て、2008年より人事部輝き推進室(室長)、2015年に執行役員 CSR推進部長、2019年より現職務。
安東弘樹:フリーアナウンサー。1991年TBSに入社後、『アッコにおまかせ!』『王様のブランチ』ほか幅広いジャンルを担当。2018年3月にTBSテレビを退職。現在は『バラいろダンディ』(TOKYO MX)などのレギュラーの他、『DAYS』(ニッポン放送)「MOTIVE」(bayfm)ほか、多数出演。