新型コロナ、日本の対策を「評価」する時に知っておくべきこと

日本の公衆衛生に必要なのはCDCか?
奥村 貴史 プロフィール

患者への濃厚接触者には、2週間の健康監視が求められるが、電話確認が一般的となっている。検疫で異常が判明した患者の国内滞在先への連絡は手作業であり、以前から非効率が指摘されていた。

患者から採取された検体(検査のために得た鼻水や血液など)の管理は自治体ごとに独立しており、関係組織間での検査結果の共有や全国レベルでの集計も手作業が基本である。国内における発生患者の累計数は公開されるが、医療機関が届け出た後の経過については制度化された報告ルートがないために、各時点での感染者数や重症化率についての網羅的な統計は存在しない。

行政機関では、定員が削減され続けており、全国における感染状況の正確な把握と各種施策の事務連絡だけでも限界に近い業務負担が生じているとされている。

今回の新型コロナウイルス感染症対策において、PCR検査を網羅的に行うべきか否かという議論があり、多くの関心が向けられてきた。しかし、こうした状況では、全国各地で独立してバラバラになされる検査結果情報を集積する体制を作り上げるという調整そのものに、過大な負担を要す。このことは、PCR検査への立場の如何を問わず、議論の前提として共有されるべきであろう。

ドイツで行われたPCR検査の様子〔PHOTO〕Gettyimages
 

技術革新の遅れ

アジア諸国間でこうした差が生じた背景には、日本においては個人のプライバシーに関わる情報の扱いが厳密である点が大きい。しかしそうした側面を考慮した上であっても、わが国においては、21世紀に入り公衆衛生において生じたさまざまな技術革新への追従がなされないまま、中国、韓国、台湾、シンガポールに抜き去られていった感がある。