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明智光秀はなぜ「異例のスピード出世」を遂げたか、ビジネス視点で読み解く

さて『麒麟がくる』はどう描くか

ビジネスマン・明智光秀

昨年十二月『ダブルエージェント 明智光秀』(幻冬舎文庫)を上梓した。執筆開始は三年前で大河ドラマは全くの偶然、そのシンクロニシティーには光秀の魂を感じる。書かされたという思いが強いのだ。

明智光秀を再評価し名誉回復する。既刊作品とは全く違う切り口で描き、ビジネス観点を取り入れた歴史小説にする——こうした意欲を持って執筆に取り組んだ。

歴史小説とは何か? それは作品が描かれたその時代その時代の要請で創造される虚構(フィクション)に他ならない。

「あなたは坂本龍馬を知っていますか?」

今この質問には百パーセントの読者がイエスと答える筈だ。しかし司馬遼太郎が『竜馬がゆく』を書くまでは、日本人の殆ど誰も彼のことを知らなかったという事実を知れば驚くだろう。

司馬遼太郎の歴史小説……幕末から明治の日本の隆盛を描いて太平洋戦争後の高度経済成長を生きる読者たちを見事に同調させ既視感を与える作品群は“司馬史観”とも呼ばれ、書くもの全てがベストセラーとなったのは周知の通りだ。

だが坂本龍馬を確かな史実から観れば、したたかな薩摩藩が雇っていた単なるエージェントのひとりと言えなくもない。それを昭和の時代の国民的ヒーローに仕立て上げたのが歴史小説『竜馬がゆく』だったのだ。

「僕は実証主義というものを信じていない。証拠というのはいくらでもあげられる」そう喝破したのは吉本隆明だが、ことほど左様に我々は常にフィクションに囲まれているのだ。フィクションに踊らされフィクションに学びフィクションに真理を観る。

 

そんな認識を持つ筆者が明智光秀の“歴史”を構築し直し、ビジネス観点を取り入れて小説に再構築したのが『ダブルエージェント 明智光秀』になる。