陸に打ち上げられたクジラの胃の中に詰まった大量のレジ袋、日本とハワイの間にポツリと位置するミッドウェー島に漂着した使い捨てライターや釣り糸、同地でコアホウドリのヒナ鳥がエサと間違えた親鳥から与えられたプラスチック製のおもちゃなどのほか、海に流されたプラスチック類が太陽の紫外線を浴びマイクロプラスチックへと変質することで生態系に深刻なダメージを与える懸念もある。

回収後はリサイクルのために一度粉々に。

問題解決の糸口を探るべく〈アディダス〉は、海洋破壊の防止に努める環境保護団体〈Parley for the Oceans〉と手を組み、新しいプロジェクトを始動

糸となり、やがてランニングシューズやトレーニングウエアになる。

海を汚染するプラスチック廃棄物をプロダクトの原料として使用する取り組みだ。2015年、ニューヨークで開催された国連のイベントで、最初のコンセプトシューズを発表。それは、海洋のプラスチック廃棄物や違法な深海の漁網を回収し、リサイクルした糸や繊維をアッパー部分に使った画期的なものだった。以来、世界中の離島や海岸で、海洋プラスチックごみを回収する役割を〈Parley for the Oceans〉が担い、そこから生まれたリサイクル素材のランニングシューズやトレーニングウエアを世に出すサイクルが出来あがった

海のごみから作られたシューズは通気性とストレッチ性に優れ、軽くて走りやすいという機能性も兼ね備える。

「2015年の試作品を経て、2016年にプラスチック廃棄物を用いた第1世代の製品を販売しました。2018年までに生産した〈アディダス〉×〈Parley〉のシューズは800万足、今年は1100万足の生産を目標に掲げています。これまでの回収活動により1400トン以上のプラスチックごみが海に流出するのを防ぎ、これまで大きく進歩をしてきましたが、これからもまだまだ、さらなる前進を続けます」

見据える先はさらに大きく、2024年までに製品に使うポリエステルも切り替えると表明。石油から新しく製造するのではなく、ペットボトルなどのプラスチック廃棄物から抽出したリサイクルポリエステルをすべての製品に使用し、再生素材100%を目指す

「自社のビジネスはもちろん、その周囲にも自分たちの意思決定が、地球の未来にどのような影響を与えるのか考えるよう働きかけていきたい」というアルベルト氏。企業発の挑戦は世界を動かすだろう。

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●情報は、FRaU SDGs MOOK OCEAN発売時点のものです(2019年10月)。
Photo:Tetsuya Ito Text:Toyofumi Makino Edit:Asuka Ochi