地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。
"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
今日、3月15日は、第1回ノーベル生理学・医学賞を受賞したドイツの医学者、エミール・アドルフ・フォン・ベーリング(Emil Adolf von Behring, 1854-1917)の誕生日です。
彼は1989年に「近代細菌学の父」であるところのR・コッホ(Heinrich Hermann Robert Koch, 1843-1910)に師事。翌90年には北里柴三郎(1852-1931)とともに破傷風の血清療法を編み出しました。
北里と彼はその成果を同年12月3日に共同研究として発表。その翌週にはベーリング単独でジフテリアの血清療法を発表しました。
当時ジフテリアは致死率が40%と極めて高い病気であり、安定した治療法の必要性が叫ばれていました。この治療法の発見はまさに「革命」と呼んでいいものだったでしょう。
この発見により、免疫学は大きく発展。その功績を称え、1901年には第1回ノーベル生理学・医学賞が彼に送られました。
ところで、彼と共同研究をした北里柴三郎にはなぜノーベル賞が贈られなかったのでしょうか。
実は、第1回ノーベル生理学・医学賞の最終候補15人の中に北里は含まれていたのです。他にも、ベーリングと北里の師であるR・コッホや、化学療法の先駆者E・エールリヒ(Paul Ehrlich, 1854-1915)、白血球の食作用を発見したI・メチニコフ(Ilya Mechnikov, 1845-1916)などがリストアップされていました。
それにもかかわらず、受賞したのはそのリストに入っていなかったベーリングでした。彼だけが受賞した理由としては、いくつかの説があります。
まだ「共同受賞」という制度がなかったこと、当時はドイツ医学会の発言権が圧倒的に強かったこと──。本当のことはよくわかっていませんが、このようなことが背景にあったのではないか、と言われています。
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