日本らしい仕事へのアプローチとは

ここまで日本社会における、不具合を見過ごせない、個人がカバーする責任の範囲が変動的、といった傾向が過剰な労働につながる危険性を指摘してきた。でも一方でこれらの特徴は、確実性が高く、他者や全体への配慮の行き届いた日本ならではの質の高い仕事につながるポテンシャルを秘めている。

ここで強調したいのは、日本の持つこの前向きなポテンシャルは、過剰な労働によってのみ発揮されるわけではないし、欧米など海外のやり方を取り入れたらなくなるものでもない、ということだ。

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例えば、欧米のように不具合にもっと寛容になったとしても、欧米で度々見られるように「不具合を許して終わり」にしてしまうのではなく、まずは一旦持ち帰って不具合のないより便利なシステムをじっくり作り上げる、という日本らしいアプローチを実現できる可能性があるはずだ。

また、欧米のように責任の所在を明瞭にした状態でも、他者に配慮した日本らしいアプローチは可能なはずである。実際に私自身が欧米で働く中でも、他者やプロジェクト全体を考えて仕事を進めるような切り口から新しいアイデアが生まれた経験は多い。ポイントは、必要なのはあくまで、他者への気配りなどその切り口から来る「アイデアそのもの」であり、過剰な労働ではないということだ。