責任の明確化は労働時間を短縮する

次に、「責任の所在の曖昧さについてであるが、日本では複数人で仕事を分担する際に責任の所在を曖昧にしてしまう傾向がある。 

例えば研究業界でもプロジェクトを進めるにあたり、個々に割り当てられた担当部分を越えたプロジェクト全体への責任をリーダーから各担当者まで多くのレイヤーの人が感じていたり、場合によっては、担当以外の部分を手伝うことを当然のように強要されるなど、自身の担当領域を越えた“過剰な責任”が変動的に個人に課せられる。

このように、日本では仕事への責任感を背負うべき範囲が流動的だ。それは一見、様々なケースへの対応力を高めるなどいいことのようにも思えるが、本来は全体に関わる領域への責任を担うべきリーダーが個々の担当者の責任感に甘える余地を生むなど、その責任感に乗じて個人の労働時間を際限なく増やす危険を生み出している

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一方、欧米では分担を与える側も与えられる側も個人の責任の所在が日本に比べ遥かに明瞭である。

例えば、今働くオーストリアの職場では、研究グループをまとめるグループリーダーは、リーダー手当を支給されメンバーが個々の仕事に集中できるようにマネジメント業務を行っている。その中で私は、自身の仕事に必要なプロジェクトを走らせ学生を雇っているが、私自身には学生の研究環境の整備などプロジェクトを管理するためのプロジェクト手当が支給され、学生には与えられた環境で研究に取り組むための給料が支給されている。

このように、責任の所在が明瞭なシステムが機能すると、個々の仕事が必要以上にオーバーラップすることがなくなり、組織全体で必要なトータルの労働力が最小限に抑えられる