「獲物」を見つける力が必要な時代に
真っ先に考えるべきこと

連載『問題発見力を鍛える』vol.2
細谷 功 プロフィール

同様の構図をミクロで考えれば、組織の中の上司と部下の関係も変化してきます。単に「言われたことを忠実にこなす」のではなく、依頼主のニーズを理解した上で「頼まれてもいないこと」(でもそのニーズに合ったこと)を能動的に提案していく姿勢が求められるのです。

このような時代には「言われたことを忠実に実行する」ことを至上命題にしてきた人たちには対応できなくなります。まさに自分から能動的に獲物を探しに行くことが求められてくるのです。

「腰を落ち着ける」か「キョロキョロ動き回る」か

連載の前回でお話しした、「問題解決と問題発見では思考回路が異なる」ことも、先の「獲物のアナロジー」から何となくイメージがわかってもらえるのではないかと思います。

単純な話、獲物を捕まえるのと探すのでは、「腰の落ち着け方」が全く逆だというのが最もわかりやすいでしょう。獲物を捕まえるとなったら、あまり気まぐれに動き回るよりは、一か所に腰を落ち着けて獲物をじっくりと待ってタイミングと勢いが重要となるでしょう。

ところが獲物を見つけるとなれば、一定の場所に落ち着いているよりはまずはランダムに動き回ることが重要になると思います。これだけでも両者が真逆の行動パターンになるイメージがつくでしょう。

この他にも、獲物をつかまえるスキルの方がある程度「あてにできる」のに対して、獲物を探すのはある程度「運次第」の側面があるのも問題解決と問題発見の違いに通ずるものがあります。

問題解決では、ある程度勝ちパターンがあったり、失敗にも必ず原因があったりという形で、成功も失敗も因果関係が明確であるのに対して、問題発見の段階ではある程度確率論の世界で、「やってみなければわからない」要素が相対的に大きいことも根本的な発想の違いとして挙げられます。

ではこれらのうち、昨今発展が著しいAIが得意とするのはどちらでしょうか? また、それはどういう点においてでしょうか?

次回はこれらの違いをAI等の技術の進化と関連させて考えたいと思います。