ねずみ男の流儀~現代を生きぬく処世術とは

嗚呼、生き様が目にしみる
堀田 純司 プロフィール

かっこいい要素はみじんもありません。しかしその姿は、あまりにもあまりにも「人間」らしい。そんな彼がいてくれるからこそ、私のようなダメな男でも、この世間の片すみにいていいんだ、と感じられます。

逆に、黒でも白でもない、ねずみ色の男。こういう男の存在が許されない社会は、ずいぶんと息が詰まることでしょう。

現代社会を渡り歩く妖怪・ねずみ男

それに、彼のかっこいいところがまったくのゼロというわけではありません。第1期アニメの放送は1968年。そこから現在放送中の第6期まで、ねこ娘の姿が変化してきたことは有名です。

個人的には、「ねこ娘は5期派」の私ですが、現在の第6期の八頭身美少女で、ふだんはクールな彼女のデレる姿もすごく人気があります。

しかし時代へ対応ならば、ねずみ男も負けてはいない。第1期のころは、インチキ新興宗教の教祖になったりしていた彼が、現在ではスマホを持ち、動画配信者やインフルエンサーをプロデュース。ネット通販も手掛け、仮想通貨の投資にまで手を出しています。

第67話「SNS中毒 VS 縄文人!」より (C)水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション

やはり現代で「楽をして儲けたい」となると、ネット方面に目が向くのでしょうか。このたくましさは、見習いたいところです。

また、好きになってしまった女性のためには、どんなに泥くさくても尽くすところもある。その純情さは泣けます。

 

アニメーション第6期は、かつてのような環境問題に加えて、大事なテーマとして「自分と違う存在も否定しない」多様性の問題や、リアルの実感の希薄さ、SNSを通した憎悪の加速など、現代ならではの課題が描かれます。

シリアスな状況を娯楽作品の中でいかに描くか。自分自身が多様性の具現者であるねずみ男は、間違いなく作品のキーパーソンとして存在感を放っています。