ねずみ男の流儀~現代を生きぬく処世術とは

嗚呼、生き様が目にしみる
堀田 純司 プロフィール

大人だからこそ共感できる生き様

しかし第一期アニメーションの放送がはじまってすでに50年以上。いつしか大人になった自分がふと気がつくと、ねずみ男の生き様がまぶしい。彼の姿が目に染みるのです。

「努力をせずに、お金を儲けたい」。当たり前じゃないか! 誰が彼の欲望を否定できるものか!

実は彼は、人間と妖怪のハーフ。妖怪からすれば彼は人間であり、人間からはあくまで妖怪と見られる。どこにも寄る辺のない存在なのです。

どちらのコミュニテイからも爪弾きにされる。そうした彼にとって信じられるものはおのれの才覚だけ。目先の利益だけを追い求める刹那的な生き方をするのも、これは無理もないことでした。

お金で釣られると「親友」の鬼太郎を平気で裏切ってみせますが、ひとつにはギリギリのところで「これなら鬼太郎も大丈夫だろう」と計算しているのかもしれません。さらに深読みすれば、もしかすると名門「幽霊族の末裔」という出自の鬼太郎に、本人さえ気がついてない心の奥底で、反発するものがあるのかもしれない。

第31話「小豆洗い小豆はかり小豆婆」より(C)水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション
 

一方、彼と同じく、底辺から成り上がった妖怪には、意外なほど深い共感を見せることもあります(もっともその妖怪はこの点も彼と同じで、ねずみ男をあっさりと裏切った)。

地を這い泥をすすり、儲け話には飛びつく。裏切ってはヘタを打ち、結局、鬼太郎に助けてもらう。そして、ねこ娘におしおきされる。