新型コロナ、世界中の人々が「悪質デマ」に踊らされる構造

メディアや専門家の情報発信にも注意を
石田 健 プロフィール

4. 伝統メディアや政府、専門家も誤った情報

そして最後に、この「インフォデミック」に際しては、伝統メディアや政府、専門家すらも誤った情報を流してしまうリスクがある点だ。

例えば、「新型コロナウイルスにアオサが効果」という情報は中部大学のプレスリリースが出処であったし、3月5日に厚生労働省が地上波の情報バラエティ番組への反論として「医療用マスクの優先供給をおこなっている」と述べたものの、優先供給は一部に過ぎず、ミスリーディングな表現であることが指摘された。

また東京新聞・望月記者は、新型コロナの検査が推奨されないのは、「東京五輪の中止を恐れてではないか」と推測しているが、現時点で政府の決定が東京五輪開催のためだというエビデンスや因果関係は示されていない。

デマと言えずとも、背景にある政治的意図を憶測して伝統メディアの記者や影響力のある人々がミスリーディングな分析をおこなっている事例は数多く見られる。

 

専門家の中にも、誤った情報や見解をテレビ番組で流布しているケースが多数見られる。例えば、岡田晴恵・白鴎大教授が地上波の情報バラエティ番組において、PCR検査が進まないのは「国立感染症研究所のOBがデータを独占したがっているため」だと主張したものの、同研究所は「事実誤認だ」とする声明を出した。

同様に、多くのテレビ番組でPCR検査について政府対応を批判している上昌広医師も、「厚生労働省は、ロシュ社の検査キット導入を拒んでいる」と述べているが、同社による検査キットは批判が展開された2月21日時点では、すでに導入されていた。

専門家や政府の見解であっても、刻々と変化する状況においては誤りや修正が必要になることはある。しかし今回の「インフォデミック」では、今まで信頼されてきた伝統メディアや政府関係の情報源であっても、誤りを犯したり不確かな情報を流布するケースが目立っている印象だ。