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新型コロナ、世界中の人々が「悪質デマ」に踊らされる構造

メディアや専門家の情報発信にも注意を

新型コロナウイルスが世界中で猛威を奮っているが、ウイルスだけでなくデマや根拠のない情報も、国境を超えて拡散している。

WHOは2月上旬、「インフォデミック(infodemic)」に警戒する必要があると述べたが、現在でも国内外を問わず不正確な情報が飛び交っている状況だ。

インフォデミックとは「information pandemic」の略語であり、誤った情報や真偽不明の噂が伝染している状況を指す。

しかし不確かな情報や根拠のない憶測は、これまで言われてきたように、SNSを起点としたものとは限らず、テレビや新聞など伝統的なメディアからの発信にも及んでいる。

一体何が起きており、私たちはどのようにして問題に立ち向かっていけば良いのだろうか?

沸き起こるデマの数々

中国・武漢で発生した新型コロナウイルスは、その流行とともに不確かな情報やデマが数多く飛び交った。

流行初期に流布したのは、新型コロナウイルスが中国科学院武漢ウイルス研究所から流出した「生物兵器」というデマだ。

これは、米・Washington Times紙や英・Daily Mail紙などが曖昧な形で取り上げたことで、世界中のブログやSNSで尾ひれがついて拡散される事態となった。

その後、医学雑誌『The Lancet』が「陰謀論」として否定したり、米・Washington Post紙の取材によって噂の元となった発言に根拠がないことなどが明らかになっている。

日本でもコロナ上陸とともに、「症状が出た中国人が関西国際空港から逃走した」といった悪質なデマが流布したかと思えば、マスクの不足とあわせて「原材料が同じであるためトイレットペーパーも不足する」というデマが広がり、マスメディアによる報道も相まって、実際に日本中のドラッグストアなどからトイレットペーパーが無くなる事態も生じた。

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国内での感染拡大が進むにつれて、デマの内容も「漂白剤を飲めば治る」や「花崗岩が効く」など、回復や治療に関連する内容も増えている。

流布している情報の種類も幅広く、「26〜27度の温度でウイルスが死ぬ」など少し考えれば嘘だと分かるような情報から、アジア人や中国人への偏見・差別を助長するような内容まで、世界中の報道機関や専門機関が検証・否定に追われている状況だ。

社会が混乱をきたしている際、デマや誤情報が氾濫することは珍しくない。特に、ドナルド・トランプ米大統領によって、フェイク・ニュースやミスインフォメーションという単語が人口に膾炙した時代、SNSによる「インフォデミック」は避けられない状況だ。

しかしながら、こうした事態に手をこまねいている場合ではない。わたしたちは、今起きている問題の特徴を理解した上で、その対処法を考えていく必要があるだろう。