「子供を一人産むまで」
逃げ切れると思っていた

「なんてことをしてしまったのだろうと思いました。前兆はあったんです。3ヶ月くらい前から、生理の量が増え、水のような透明でサラサラしたおりものが出ることがありました。でも本当はその前からお腹がチクチクしたり、不正出血もあって。トイレで下着の汚れを見つけるたびに、暗澹たる気持ちになって。ずっと、トイレに行くのが怖くて仕方ありませんでした」

警鐘は鳴っていた。ただ手術をキャンセルした手前、がんになるわけにはいかない。母親にも、結婚を前提につきあっていた彼にも検査に行っていないことをはぐらかしていて、誰にも相談することができなかった。

「生理はあるのだからまだ産める。結婚して子供を一人産むまで何とか逃げ切って、その後なら子宮を取ってもいいかなと考えていました。前兆や不安は、見て見ぬふりをして、きっと逃げ切れると思っていたんです。がんを甘く見ていたんですね。

診てもらった医師からは、かなり進行していて、多臓器に転移していたら手術はできないこと、手術ができても卵巣も子宮もすべて取る広汎子宮全摘術で抗がん剤も必要と説明を受けました。もう後悔しかありませんでした」

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子宮体がんのステージ3C。
現実を思い知らされた

その後の検査結果は、子宮頸がんの再発ではなく、新たな原発として子宮体がんと判明。がんは子宮の入り口まで広がり、右の腸骨のリンパ節にも1つ転移が見つかった。“子宮体がんのステージ3C”と診断された。

「検査を逃げていた間に、新しいがんができていたんです。新たな病院で治療するには、前の大学病院のカルテが必要と言われましたが、今さら前の主治医に合わせる顔がありません。主治医はきっと怒っていると思いながら、震える手で電話をすると、“すぐにいらっしゃい”と言ってくださったんです」

2年半ぶりに会った医師は、不義理を問いただすことも、嫌な顔ひとつ見せることもなく診察をし、「絶対に助けてあげるから。もう一度仕事ができるようにしてあげるから、こちらの病院でもう1回頑張って治療しませんか」と言ってくれたのだという。

「その言葉を聞いた瞬間、涙があふれ、今度こそ正面からがんと向き合おう。そうしなければ、がんと闘うことはできないんだとやっと目が覚めました。このとき、絶対に治す!という決意の“患者スイッチ”が入ったのが自分でもわかりました」

原さんが言う、“患者スイッチ”は、告知後すぐに入る人は少ない。入るまでに、こころは揺れに揺れ動く。それも自然なことだ。だが、命より大切なものはない

勝手に「大丈夫だろう」と自分が望むように解釈をすることが一番危ない。そこに原さんは気づいたのだ。

アライブ9話でも、大腸がん再発で肝転移した妊娠中の女性が、命を捨ててまで出産したいというシーンがあった。最終的に話し合いながら「妊娠継続できる治療」を探していく形で描かれた。すべてのがんでこの選択ができるわけではないが、必死に可能性を探る医師たちの姿が印象的だった。

もうひとつの記事では、原さんの“患者スイッチ”が入ってからのことをお伝えする。

『アライブ がん専門医のカルテ』
出演:松下奈緒 木村佳乃 清原翔 岡崎紗絵・中村俊介/三浦翔平・田辺誠一 藤井隆 木下ほうか 高畑淳子・北大路欣也
フジテレビ系毎週木曜22:00~22:54 
https://www.fujitv.co.jp/alive/