トイレットペーパーを奪い合い、店員に暴言を吐き散らす人々の心理

コロナ騒動で見えた「カスハラ」の実態
池内 裕美 プロフィール

“ストレス発散型クレーマー”の横行

では、今回のコロナショックによるクレームの根底には、どのような心理が潜んでいるのだろうか。様々な見方があるといえるが、本稿では次の3つの感情を挙げておく。まずは、先の見通しが立たないことに対する“閉塞感”。そして、突然穏やかな日常生活が奪われたという“喪失感”。さらに、必要なモノが手に入らないことによる“焦燥感”。

こうした負の感情が“不満”の土台を築き、目的の商品が買えなかったことで“怒り”となって顕在化し、そのやり場のない怒りを目の前の店員にぶつけて発散している客が多いと思われる。いわば、「ストレス発散型クレーマー」とでもいえるであろう。

そもそも日本には「顧客第一主義」の理念が浸透しているため、店員の立場は客よりかなり低い。よって、たとえカスハラまがいな要求をされても、店員は消費者を「お客様」として扱い、自分の責任でなくても、欠品状況に対して謝罪することが常となる。

そうした低姿勢により、一層権利意識を高めた客たちは、さらに“こっちは客だ”、“在庫を出せ”、“使えん奴だ”、“上司を出せ”と店員を激しく責め立てる。負のスパイラルだ。怒りを抑えるには強いエネルギーが必要になるのだが、大きなストレスのある状況下では感情のコントロールが難しい。カスハラは、行き過ぎた顧客第一主義がもたらした弊害の一つともいえよう。

 

従業員、企業は、カスハラにどう向き合うべきか

では、こうしたカスハラ対策としては、どのような手立てが考えられるのだろうか。
まず、従業員は、いくら謝罪しても無い袖は振れないのだから、“無理なものは無理”と毅然とした態度を貫き、相手に諦めさせるのが得策だ。その際、「お気持ちはわかりますが、ご理解頂けませんでしょうか」といった共感的理解の一言を忘れてはいけない。