韓国からの入国規制、安倍政権の拙速が招いた「怒りと混乱」全内幕

日韓局長級会議も中止寸前に
牧野 愛博 プロフィール

韓国政界では「政争の具」に

日本側の措置は上述したように、首相官邸の方針決定から実施までの期間があまりに短く、拙速であったことは確かだ。ただ、危機管理対応を巡る世論の反発と政権の求心力低下を恐れたことがまず背景にあり、必ずしも日韓関係が念頭にあったわけではないようだ。

ただ、韓国は4月15日に総選挙を控えている。韓国でも、新型コロナ問題によって文在寅政権は批判にさらされており、大統領府ホームページには文在寅大統領の弾劾を求める請願が約147万件集まった。選挙を前に、あらゆる問題が政治争点化される傾向が強くなっている。

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その証拠に、文在寅政権を支える与党「共に民主党」は6日午後、日本の措置撤回を求める考えを表明すると同時に、「今回の(日本の)措置は、コロナ対応で支持率が急落している安倍政権の政治的な勝負手だ」と批判。逆に、保守系の最大野党「自由韓国党」と中道保守系の野党などが合併した新党「未来統合党」は同日、「この重大な時期に反日感情で国民を扇動する姑息な手を使うのは、すぐに止めろ」という論評を発表するなど、日韓の新たな摩擦がさっそく政治争点に化けた。

 

そして、さらにこの問題を燃え上がらせたのが、康京和外相の怒りだった。

康外相は6日昼過ぎ、冨田駐韓大使を外交部に呼び、日本の措置について「不合理で行き過ぎた措置であり、極めて遺憾だ」と批判した。日韓関係筋の1人は、韓国メディアが配信した冨田大使をにらみつける康外相の写真について「こんな表情の外相は初めて見た。怒りを表現するために、意図的に撮らせたのだろう」と語った。