韓国からの入国規制、安倍政権の拙速が招いた「怒りと混乱」全内幕

日韓局長級会議も中止寸前に
牧野 愛博 プロフィール

最も大きな問題となったのが、「指定場所での2週間の待機」だった。厚生労働省など現場の担当者からは、「一体どこで待機させるのか」「場所も要員も、9日の措置開始までに手当てできない」といった戸惑いの声が上がった。このため、安倍首相が5日に方針を表明した際も、待機は義務ではなく要請にとどまることになった。

日本政府の方針が確定しないため、韓国政府がいくら「本当にやるのかやらないのか」「措置の正確な内容は何か」と尋ねても、日本外務省は「まだ何も決まっていない」と答えるしかない。結局、日本が韓国に9日からの措置についてソウルと東京の両サイドで通告したのは、安倍首相の5日の方針表明の直前になってしまった。

一方これに対し、韓国外交部は5日夜、在韓日本公使を呼び、抗議と措置撤回を求めた。この時点で、韓国政府からは「あまりにリードタイムがなさすぎる」(当局者)とのぼやきが出るなど、日本の官僚機構と同じような反応が出ていた。

「政治的意図」を疑う韓国側

だが、事態はこれで収まらなかった。

韓国大統領府は6日午前、日本による入国規制措置の正式発表を受けて、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開いた。

韓国側の報道資料によれば、NSC常任委は、日本政府の措置に「強い遺憾の意」を表明した。そればかりか、「我が国は世界が評価する科学的で透明な防疫体系を通じてコロナ19を厳格に統制管理しているが、日本は不透明で消極的な防疫措置で、国際社会から不信を受けている」と非難。

 

さらに日本政府の措置に対して「事前協議がなかったことは納得しがたく、相互主義に立脚した措置を含む必要な対応策を検討することにした」とぶち上げた。「相互主義」という言葉を使って、日本政府の措置には新型コロナ対策を超えた政治的な意図があると示唆したわけだ。