韓国からの入国規制、安倍政権の拙速が招いた「怒りと混乱」全内幕

日韓局長級会議も中止寸前に
牧野 愛博 プロフィール

関係者によれば、安倍晋三首相の頭のなかにこの方針が浮かんだ契機の一つは、3日の国会質疑だったという。この日、参院予算委員会で日本維新の会の松沢成文議員が、中国全土からの渡航禁止や、日中韓3ヵ国が連携した水際対策の推進などを安倍首相に迫っていた。

安倍政権は最近、首相の後援会関係者が「桜を見る会」に多数招待された問題や、河井克行前法相夫妻を巡る公職選挙法違反疑惑などで、支持率が低落傾向にある。政界関係筋の1人は「今の永田町は、政局一歩手前の状態」と語る。「ここで新型コロナを巡る危機管理で遅れを取れば、場合によっては夏前の退陣もありうると考え、安倍首相は遮二無二強硬な手を打つようになっている」

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韓国側への通知は「発表ギリギリ」

実際、安倍首相は2月27日、全国の学校に対して3月2日から春休みまで臨時休業を要請する考えを表明。3月4日には、最悪の場合に緊急事態宣言を可能とするため、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正に向け、野党各党に協力を要請した。学校休業の要請について、全国の教育現場や父母らが大混乱に陥ったのは既報の通りだ。

また別の政界関係筋によれば、安倍政権は特措法改正について「超党派による合意」を取り付けるため議員立法を目指したものの、野党の一部が反対に回ったため、4日の党首会談では政府立法による提案に切り替えるなど、事前の準備や根回しの不足があちこちで露呈している。

 

そして今回発表された中韓両国からの入国制限でも、首相官邸の拙速な動きが浮き彫りになった。