地面師事件の衝撃、三菱UFJに送られた「マネロン書簡」を入手した!

多数かつ多額の小切手が、なぜ…?
藤岡 雅 プロフィール

そして、次のように懸念を示している。

〈私たちは、事業のプロセス及び全体的なガバナンスの破綻、隠蔽、そしてこの取引全体から窺われるマネー・ローンダリング及びテロ・犯罪資金との関わりの懸念から、そのままこの状態が放置されれば、今後不祥事が再発し、積水ハウス、貴行、そして日本の経済界全般の信頼と評判に対する長きに渡る損害となることを懸念致します〉

この「書簡」は警察庁の「犯罪収益移転防止対策室」や金融庁の「マネーローンダリング・テロ資金供与対策企画室」、さらに米「FinCEN」や「米連邦捜査局(FBI)」などの捜査機関にも送付されたという。

この書簡について、三菱UFJの広報担当者は「書簡は受け取っており調査を実施しています」と語った。

沈黙を続ける阿部会長

この「書簡」が三菱UFJに送られたのは、国際的な金融犯罪の防止のための規制がますます強化されているという背景があるのだろう。しかし、こうした犯罪防止に向けた規制の重要性はなにも金融機関に限られているわけではない。

日本の「犯罪収益移転防止法」では、金融機関だけでなく、宅地建物取引業者にも厳格な「本人確認」と、疑わしい取引に際しての「届出」を義務付けている。この地面師事件の取引においてはペーパーカンパニーに対しても物件の所有者に対しても、同法に定められたような厳格な確認が行われた形跡は明らかになっていない。

それだけではない。

とりわけこの地面師事件の調査報告書について、会長の阿部氏をはじめとした現経営陣はその「調査報告書」の公表を頑なに拒み続けており、これをアメリカの株主たちは「著しいガバナンス不全」と深刻に捉えているという側面もあるのだろう。

積水ハウスは3月5日、前述した和田氏らの株主提案に反対することを発表。そのうえで、次のように反論した。

「本株主提案の提案理由に記載の内容は、その詳細な調査結果と異なるもので、明確な事実誤認であり、「不正取引」は存在しません」

筆者はこれまで地面師事件の真相について阿部氏に再三、インタビューを要請してきた。今回も積水ハウスの広報を通じて阿部氏のインタビューを申し込んだが「応じる意向はございません」との回答だった。阿部氏は地面師事件について沈黙を続けている。

 

和田氏らは4月の株主総会で自身らの株主提案が認められたその暁には、取締役会で過半数を占めることになる社外取締役の主導で不祥事対応のモデルケースとなる徹底したガバナンス改革を実施し、さらに地面師事件の全容解明を目指す第三者委員会を立ち上げるとしている。

積水ハウスの地面師事件は、世界中のステークホルダーを巻き込んだ大論争に発展しようとしている。